仕事の都合で大阪観戦はとても出来なかったが、この日は会場に足を運べた人が勝ち組です。
こんな神興行はなかなか無い。テレビ観戦でそう思うのだから、会場では尚更でしょう。
1.長谷川vsウーゴ・ルイス
あくまでも「プロ」としての観点だけを語るのであれば、長谷川は90年代の辰吉に匹敵する存在になってきたのではないか。打たれたときのダメージを心配するファンとそれに反発するかの様に自身の美学を貫く長谷川、まるでかって、ガードを上げろよとファンに言われながらも、ルーズに両腕を下げて、ヘッドスリップ中心で相手の攻撃を避けて行くスタイルを貫いていた辰吉の様に。
一歩間違えれば、粉々に砕けていく、そんな刹那的な世界に身を投げだせるからこそ、長谷川の試合は危うくも美しい。最後のKO寸前に追い込まれながらも、敢えて打ち合いで形成を逆転していく様はまるでハグラー戦でのピンチを脱したレナード。そしてルイスの棄権は身体の負傷も去ることながら心が折られたかの様でした。
故・佐瀬稔氏であれば、この試合にどんな感想を抱いたであろうか。郡司さんはどう思うか。
かっての昭和のボクシング人にこそ語ってもらいたい試合です。
2.山中vsモレノ2
喧々諤々、様々な見方がされた第一戦と異なり、モレノが距離を近くして挑んできたことは前回の戦い方ではアレが精一杯であったからでもあろう。対してマイナー・チェンジはしてるであろうが、己のスタイルの根幹は変えない山中。
ブロックと直線的なバックステップの占める割合が多い、山中のディフェンスに多少の不安を感じさせるシーンもあったものの、4Rに奪われたダウンも攻めにいって食らったもの。
お互いに守ることよりも攻めて勝つことを選択した結果であり、モレノから都合4度のダウンを奪ってキッチリとKOで決着を付けた山中は紛うことなき日本ボクシング界のエースと言えるだろう。それだからこそ、より大きな舞台、強い相手を望んでしまうのですが。
そしてモレノ、1Rのダウンは身体が温まってないうちだから予想外のところもあろう。それよりも6Rと7Rの1度目のダウンから立ちあがってきたのは凄いとしか言いようがない。
この日はまさにボクシングの神さまがセッティングしてくれた神興行でした。
思えば、この日出場した4選手はいずれもサウスポー。ボクシングの神さまがいるならば左利きに拘りがあるのでしょうか。