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Channel: リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論
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21時開始のメイン・イベント

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先日の大田区の興行でメインの京口vsアルグメドが21時開始ということで生観戦したファンから顰蹙を買ってましたが、テレビ局の都合に合わせて、会場のお客さんをないがしろにする悪習慣は相変わらずですね。

さて、そんな状況で行われた試合をあげてみるか。

本当は複数世界戦で21時からの枠があるならば、21時放映開始分をデイレイにするのがいいと思いますけどね。

 

1.佐藤修vsサリム・メジクンヌ(2002・10・9代々木第一)

※確か、事前に21時開始を謳ってました。仕事帰りの会社員に合わせるとか金平会長が言ってたような。しかしねぇ、終われば22時過ぎですよ。会社員の次の日の出勤までは考えれらなかったのですね。

 

2.徳山昌守vs川嶋勝重第2戦(2004・6・28横浜アリーナ)

※これは生観戦しました。一緒に観戦した知人が6R過ぎるようなら帰れなくなるから途中ででも出なければいけない・・・と言ってたものの、まさかの1RKO決着。これこそゴッド・アングル(笑)。

 

3.井岡一翔vsファン・エルナンデス(2011・8・10後楽園)

※これも事前に21時メイン開始を申告してたし、都心の後楽園ですからいいんですけどね。MMAではDEEPとかも毎回22時オーバーらしいし(笑)。(単純に試合数の多さによる。昔のMAキックみたい。)

 

4.山中慎介vsマルコム・ツニャカオ(2013・4・8両国)

※これも事前告知してたから覚悟しての観戦。結果として最終ラウンドまで行ったけど、試合が良かったからいいか。しかし、試合後に飯食ってる暇も無かったのは寂しい。ちゃんこ食いたかったのに。

 

5.八重樫東vsエドガル・ソーサ(2013・12・6両国)

※この試合は八重樫がアウト・ボクシングを完遂した好勝負だったのですが、あまりにも遅い時間になったので前の席のファミリーのお子様がゲーム→うたた寝となってました。

フライ級の防衛戦の中では一番の出来だったのに。

 

そして今回。1時間以上の休憩に遅い終了、よほど内容が良くないと一見さんは二度と会場に足を運ばないと思います。お金を払って会場まで来た人をないがしろにするようなことを無くしてもらいたいですね。

 


内山・三浦引退に寄せて

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三浦隆司が引退を表明し、内山高志も追う様に引退を表明しました。

Sフェザーで一時期は世界を索引した二人は互いを意識せずとも、奇妙な糸で結ばれてるかの様でした。

 

①直接対決では内山が勝利。

 

この頃は両者の力量差は明確に表れてました。心を折られた三浦はこの後に引退を考えたこともあったそうです。しかし、ジムを移籍したことで一方の王座であるWBCの王座を獲得して運命が変わる。

国内で防衛ロードを歩みながらも海外でのビッグマッチ実現を切望する内山ですが、なかなか実現には至りません。

そうこうしてるうちに三浦はV1のセルヒオ・トンプソン戦をメキシコで行い、陥落となったものの激闘誉れ高いフランシスコ・バルガス戦、滅多に見られない激闘だったミゲール・ローマン戦等、海外で試合を積み重ねていく。ラスト・ファイトとなったベルチェルト戦も完全燃焼する様な試合でした。

直接対決では敗れたものの、内山が切望してた海外での防衛戦、そしてビッグマッチを実現させたという点では恵まれたキャリアだった三浦。どちらが幸せな幕引きだったのか考えさせられてしまいます。

左を起点にして相手を削り、強打を爆発させる内山。

攻撃特化型で芯を外しながら圧力をかけて左のボンバーを叩きつける三浦。

今のSフェザー級ではロマチェンコ、デービスという二人のハイテク・モンスターが出現したことで、二人とも前時代的ともいえるスタイルになってしまったわけですが、二人が王者として君臨してた時代に立ち会えたことはボクシング・ファンとしてはこのうえない財産です。

とまれ、二人ともお疲れ様でした。

 

世界の価値は?

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いつの頃からか、日本人選手が世界王座を奪取しても何の感慨も抱かなくなりました。かっての大橋や辰吉、内藤の王座奪取位までは感動してたし、国内で無双を誇った選手が運も実力も総動員してやっと勝てる世界、それが本当の「世界」だと思っていたからだろう。

 

いつの頃からか、勝ちすぎる日本人の敗北を願うことも多くなった。

理由はいくつか考えられる。もちろん、あの一家によって金で王座を買えてしまった例を見てしまったこともある。

しかし、他のボクサーは真剣勝負の舞台を勝ち抜いてベルトを獲ったのである。それでも感動どころか、何の感慨も抱かないことはどうしてなのか?

①認定団体の増加・乱立

頑なまでのWBAとWBCの2団体しか認めない姿勢を貫いてきたわが国ですが、2013年にIBFとWBOを認可。単純に4つの団体のいずれか、与しやすいところから狙うのが露骨になった。

本来なら、統一戦に絡んだり、かっては非認可団体の王者だったために招聘できなかった王者が日本に来日するのではないかという淡い期待もあった。しかし、その希望にかなったのはオマール・ナルバエスのみでした。決定戦も多いし、後はねぇ・・・

 

②国内王座を無視

トップアマとしての実績があって初めて飛び級が認められるが、

加熱する日本王座や老舗の東洋太平洋を狙わずともランク入りできる魔法のベルト、WBOアジア・パシフィックの設立も関係するのではないか。もっとはっきり言えば試されずに上は上がろうとするケースが多くなった。それでも攻略できる王者が増えてしまったということかなあ。

 

今年に入っても久保や京口、木村翔の戴冠には何ら感じるところが無かった。もちろん、久保や京口はそれでも東洋太平洋王座を獲得してるし、木村翔は敵地での倒しての戴冠。

しかし、同程度の名の通った日本人とのサバイバルマッチや挑戦者決定戦的な試合をして来なかったのも事実。それだけに日本王座をないがしろにしたデメリットはあまりにも大きい。

福原はまだこの点が評価できると思いますが・・・

今後は王座を獲得するよりも防衛していくことによって信頼を得ていく時代になってきたと言えるでしょう。

地上波受けするには。(適当)

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井上尚弥の次戦がWOWOWで放映されることになりました。

いままでフジで放映していて、その実力と反比例するかの様に視聴率が稼げなかったらしいですが、これを井上の人気度と結び付けるのはあまりにも短絡すぎる。

カードの面白さが関わってくる分は大きいが、スピードがあり、迫力があり、KOへの期待を途切れさせないのに何故、数字があがらないか。

実はテレビ映えする選手と視聴率という不確実性なものを稼ぐのはまったく別物ではないかと思います。

 

その昔、テレビがメディアの王様だった時代は世間のブラウン管(死語?)に対する食いつきは真剣であり、文字通りテレビからスターが生まれました。原田、具志堅、渡辺二郎、辰吉など。畑山も時代的にギリギリ入るかもしれません。

今と比べれば娯楽が少なく、テレビが大衆娯楽の大半のパーセンテージを占めてた時代です。ネットも出始めの頃は携帯やスマホでなくPCでアクセスせねばならない時代だったので依存率が低かったかも。

一家団欒の場でのスポーツ中継の食い入り度は今とは比較になりません。

対して今は畑山が活躍した00年代序盤と比べると、いろんなものが周囲にあり、テレビは携帯やスマホで見るものと位置付けられ、他のものと並行して流し見することも多くなったのではないか。

そういう時代に求められるのは亀田兄弟や井岡みたいな試合だったのかもしれない。つまり。

①スキャンダラス含めての知名度が高い。父や叔父とか、私生活のスキャンダル(脱税とかね♪)も肥しにしてしまう。とにかく知名度が必要というスタンス。悪名もまた知名度なり。

②試合時間が概して長い、KOへの期待値が低くても長い時間、画面へ露出できる試合ぶり。

判定狙いの試合にも垣間見える攻防の機微とか、技術はお茶の間の団欒には届きにくいが、画面を流し見する程度でBGMにはちょうどいいということなのかもしれない。

 

この時期(2000年代前半位)はK1では武蔵の試合が一番、視聴率が良かったらしいです。つまり、KOへの期待が希薄だが、長い時間画面に露出していて試合が長かったからと谷川氏は語ってました。

そして、そういう展開だから、別に相手がそこそこ知名度があって過去の選手とか別に強くなくてもいいだろ的な発想になってるわけではないでしょうかね?多分。

ま、プロテクトがかかってたこともあったけど武蔵は亀なんかと比較したらいけない位に真っ当なマッチメイクでしたけども。

 

井上もフジを主でなく、従としてWOWOWを主にシフトしてもらいたいものです。三浦や亀海、かっての西岡の様に海外でも構わないのでビッグマッチ路線へ突き進んで欲しいものですね。

フジで放映するならばエンダムが村田に連勝して電通をアッと言わせて欲しいです。

 

 

 

パンチャー考

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今日は休みなので朝から、用階vs根本2などを観てました。

最近の試合と比べると荒々しく、良くも悪くもパワフル。決め手は右に合わせての右クロスだったのですが、この時代はパワー信仰が強く、ジャブで試合を構築するよりも左右フックを振り回していく印象が強く残りました。

70~80年代の国内で活躍するパンチャーには共通項がある気がします。

①筋肉質の肉体、盛り上がった僧帽筋に太くて短い腕。

②ジャブは牽制程度、パワフルに左右フックで圧力をかける。

③防御はブロックとクリンチ主体。

 

アマ出身者でもプロで成功するためにはとパンチ力を強調するスタイルに変更することがありました。用階政弘、ロイヤル小林、上原康恒等。軽量級では具志堅や後の渡辺二郎みたいなストレート・パンチャーも散見されましたが、JRライト(Sフェザー)以上になると当時の技術水準ではフッカーにならないと難しかったのでしょうか。

柴田国明もパンチャーでしたが、決め手は左フックだし、瞬発系だからちょっと上記のパワー系とは趣きが違うかもしれません。

 

当時の日本人の平均体格も影響しての試合スタイルなのかなとも思います。時は流れて90年代になると、上半身の力に頼ったスタイルでなく、身体の柔軟なしないや、下半身との連動の強化、カウンター等の技術の進歩により、パンチャーも多様さを見せてきます。

 

日本人の体形がより西洋の人達に近づいてきたことや映像メディアの発達により、技術の革新が進んだことも影響してるのもあるでしょう。

それでも吉野弘幸みたいな極端なレフト・フッカーが出てきたりするのは面白いものです。

そして現在。山中のゴッドレフト、西岡のモンスター・レフトはいわずもがな。Sフェザーでも内山みたいにストレートでもフックでも倒せるオールラウンダーが出てきたり、ミドル級では右ストレートに決定力を持つ村田みたいな選手もいます。また、三浦のボンバーは昔と今風の中間みたいな懐かしい感じでもありますね。

特に2000年代以降は防御面に関しても空間把握能力に優れ、距離感に長けたボクサーが増えたことがストレート系のパンチの重要性を高めたのではないかと推測します。

昔の試合を見直すことはそこから現在までの流れを辿って、いろいろ類推する面白さがあります。この論拠が正しいかどうかはわからないですが、一つの仮説として読んでいただければありがたいです。

 

村田vsエンダム2への私論

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村田とエンダムの再戦が決まりました。

正直、他のミドル級戦線へはとても入っていけないので、これしか無かったというわけですが、仮に村田が王座を奪取してもちゃんとランカー相手に防衛戦を組んでくれるのかなという不安があります。

村田というボクサーには文句は無いのですよ。五輪金というゆるぎなきアマ実績、大言壮語せずにボクシングに打ち込む真筆な姿勢。

自らもマニアなのでファン心理も掴んで、エキサイトマッチの解説もそつなくこなす頭の良さもある。

試合スタイルは武骨で不器用ながらも試行錯誤を繰り返してるし、天下のミドル級という点で期待も大きい。

 

だが、しかし、その周辺にまつわりつく陣営の意思はあまりにも不純に過ぎる。言うまでもなく、世界戦に至るまでのマッチメイクだが、デビュー戦の柴田戦以外は試練とも見える試合も無く、そのベクトルは亀田路線と変わらないと言ったら言い過ぎか?

対戦相手の質や戦意などから、あの一家と同じ質のことをしてるとは思わないが、向いてる方向性は同じでないのか。そして、そのベクトルの先に世界戦がある点も。

ゴロフキンやカネロとは勝負にならないのは仕方ない、ソンダース相手でも分が悪いし、日本に来たがらないみたいだから、やはりエンダムしかいないのだろう。しかし、王座を獲った後はどうする。

一番不安なのは、村田がエンダムに勝って世界奪取した後に、上位ランカーとの防衛戦をキチンと組んでくれるかということに尽きる。

 

エンダムが王者のままならば、条件次第で敵地に乗り込む姿勢があることは今回も証明された。だから、相手が上位ランカーでも条件が良ければ対戦を厭わないだろう。

村田本人の思惑はともかく陣営はどうか。条件が良くてもとても敵地へ乗り込むことを電通やフジが認めるとは思えない。帝拳もこと村田に関しては亀海や三浦みたいな姿勢を取れないのはこういうしがらみが多いからではないかと推察するが、実際はどうなのか。

 

判定の基準の件もそうだし、マスコミが前戦を村田勝利ありきでのみしか論じてないのが不安を感じる。何か純粋なボクシングとしての魅力以外の余分なものが付きすぎてる錯覚に陥る。これはエキサイトマッチなどでビッグマッチを見るときの高揚感とはまったく別種のものだ。

だから、正直、この試合に危惧は感じるがノレない。

いっそエンダムが完勝してくれた方が素のボクサー、村田が観れる気がするのだが、穿ち過ぎな見方だろうか。

 

 

山中vsネリ雑感。ストップを考える。

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山中王座陥落。

具志堅の記録に並ぶ寸前まで来ながらにしてこの結末は残念。

今回は戦前から山中不利を唱えてる方も多く、その懸念が的中してしまいました。

 

 

山中の調子自体はそれほど悪い様には見えなかったものの、ネリは身体が柔らかく、実況アナが絶叫するほどには左がダメージを与えてる様には見えず、また、不用意にネリのパンチをもらうシーンがあったのはちょっと不安を掻き立てられました。

とはいえ、ここ何度かの防衛戦、V8のサンティリャンや直近のV12カールソン以外の防衛戦はいずれも相手に主導権を前半取られかかっての挽回→逆転劇が多いし、ソリス、モレノにはダウンを奪われてるし、カールソンにも一瞬だけ効かされるシーンもあったので、まだ安心して観てられましたが。

しかし、予想以上の被弾でバランスを崩し、4Rにレフェリーが止める前にセコンドがタオル投入で試合をストップ。試合後の本田会長の発言も含めてセコンドがタオル投入したタイミングの可否が問われてます。

個人的にはリアルでテレビ観戦してたときはレフェリー・ストップだろうが、セコンドのタオル投入であろうが、試合を止めるタイミングには違和感を感じなかった。

あと残り30秒位を山中が凌いで、次の回で逆転できたかどうか、それはわからない。しかし、その30秒の間に決定的な一撃を追加されてた可能性もある。だがすべてのIFを内包して出された結論は尊重すべきではないか。大和トレーナーに限らず、セコンドがタオルを投入することはそういうIFの誘惑を振り切っての決断なのだろう。

 

今回、山中と陣営は今回のセコンドのタオル投入にまったく納得していない様なコメントを残してる。では、自身のセコンドやレフェリーに試合を止められないためにはどうすれば良かったのか。それを彼らに伝えるのも広義での技術ではないのか。

具体的に今回のシチュエーションで止められないためには

 

①防戦一方でなく、自分も手を出して応戦する。

②クリンチで相手の攻撃を寸断して、流れを途切れさせる。

③足を使って射程外へ脱出する、距離を取る、回り込む。

 

つまり、試合を止める権限を持つレフェリーや自分のセコンドに対しても、まだまだやれる、ダメージは思ったほどでないということをアピールというか伝えられる技術を見せるべきではなかったか。

後で見直して、そんなにもらってないと言われても、そのときにダメージがある様に見えたら止めることを優先されるでしょうし、その場でアピールできなければ無意味です。ダメージを抑えて、止められたから、悔しさを感じられる部分もあるはず。

覆水盆に返らず、しかし、新しい盆に水を貯めることは出来るはず。

今後の山中はどう動くのか、どう動いてもその判断は尊重したい。

大事なのは終わったことでなく、これからどうするかなのだから。

 

7・19後楽園:W東洋戦観戦記

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久々にホールに足を運びました。

平日興行にも関わらず、開場前は久々にホールの廊下から階段へ連なる列が出来ました。これだけで地力のある興行だと実感。期待値が高まります。

この日はhigegeさんとその知人といつものバルコニーから観戦。

「今回は臼井を応援しますよ!」というhigegeさんの提案で青コーナー側に陣取りながら開始を待つ。

客入りは開始時は比較的余裕があったものの、メインが近づくに連れてかなり密度が高まってきて、気が付けば北側の席はビッシリ、いつもは空席が目立つ南側もかなり、埋まっており、南側後方に結構な数の立ち見も出てきたほど。全体的には8~9割は埋まっていて、あえて言えば満員以上超満員以下って感じかな。

 

さて、試合の方は全6試合。アンダーでの3試合はいずれも金子ジム勢がKO勝ち。ウェルター以上の重い階級ということもあって1,2試合目はともに迫力があったものの、やや大味な印象。

しかし、3試合目の藤中vs大村は階級がウェルターとはいえ、軽量級の様にスピードがあり、距離を意識したテクニカルな試合として幕を開けた。

1Rは藤中がカウンターをボコボコ当てて、KOは時間の問題かと思わせたものの、そこからの大村の粘りもあり、熱戦に。最後は藤中が壮絶なKO決着をつけたこの試合が、前座のベストバウト。

 

そしてメイン。まずはダッケルvs木村隼人。

木村は前半、忙しなく手を出すが、ほとんどがヒットしない。

ダッケルが軽いが、的確にパンチを当てていく。意外にリーチが長く、力感が感じられないが、タイミングが良いのか、木村の前進を阻むような左が印象的だ。前半はダッケル優勢に試合が進む。

その後、序盤からボディをしつこく打っていった木村が後半にチャンスを掴みかけるが、結局はダッケルのインサイドワークに誤魔化されてしまった感じ。10Rは一番の勝機だったが、ここで攻め込めず、11Rを完全に落としてしまったのも痛かった。

判定はさすがに6差はどうかと思うが、ダッケルの3差位の判定勝ちかな。

一見、組しやすく、パンチもある様に見えないから、今後はダッケルをターゲットにする選手も出てきそうだけど、なかなかの曲者。今後は日本人キラーとして名を馳せることになりそうです。大差判定で完封した井上弟はやはり強いんだな・・・

 

次いで和氣の再起戦。会場の雰囲気がガラリと変わる。

やはり、スター性を感じますね。相手はベテランの瀬藤。

タイ人が相手でなくて良かったが、瀬藤はやはりブランクが大きかった。和氣のパンチに反応できず、距離を潰して大きなパンチを放つが力感が感じられない。

そして5Rに決着。和氣はやや慎重なキライがあるが、ガードの低さよりも下がりながらの攻撃が多いのが気になる。ブランクのある瀬藤だから押し込みを凌げたが、圧をかけてくる相手を捌けるか?不安が残る。例えばこの日のメインを張った大竹と対戦したらどうだろうか。

陣営は日本人王者が揃ってる今だからこそ、世界獲りを急がせるつもりだろうが、焦らず、国内からじっくりと出直して欲しいとも思う。

それか、中南米や北欧の世界ランカーと対戦してもらいたい。

 

最後に大竹vs臼井。

事前にこの試合の勝者に挑む丸田がリング上から挨拶。

higegeさんたちは臼井応援だったが、この後に丸田と戦わせて面白そうなのは大竹なので、心の中で大竹を応援してました、higegeさん、正直、すまんかった!

試合は序盤、臼井のシャープな左ジャブ、右のストレート、フック等が決まり、王座奪取への期待を束の間、抱かせたものの、ラウンドを重ねるとエンジンの出力が上がってくるのが大竹。鼻血を早々に出したものの、顔色変えずにゴリゴリ前進。

臼井のパンチを連打で食らっても意に介さず、逆に臼井は大竹の攻撃でバランスを崩し、動きが止まるなど見栄えが悪い。

そして10回、ラウンド終了間際についに臼井がダウン。そしてセコンドが躊躇なくタオル投入。これはいいタイミングでした。

 

第一試合からメインまでスムーズに試合が進行し、お目当ての選手が終わったら帰るお客さんもほとんどいなかったので、本当に観にきて良かったと思える興行でした。

これだけの客入りで最安値の5000円を当日でも正直に販売してたのは良かったと思いますし、自由席もいつもなら南側の後ろ2列まででしたが、この日は後ろ5~6列まで自由席だったのは観客目線からするとありがたかったですね。

 

唯一、気になったのはリング内のことですが、試合のストップが明らかにタイミングが遅いだろという試合もありましたね。膝がぐにゃぐにゃになってるのに再開させて、踏ん張れずに重大な事故につながったらどうするのだろうか。レフェリーが高齢な方も多いので、こちらも世代交代を考えてもらいたいです。

 

 


7・23大田区雑感

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片道2時間の勤務先から理由をつけて大急ぎで帰宅しました。

なんとかリアルタイムでテレビ観戦だけは出来たので雑感を。

まず田中vsバレラ。

 

田口は今までの試合で一番良かったのではないか。

昔はタイトルそのものに価値があったので、王座奪取自体が快挙であり、そのボクサーの評価につながってました。しかし、今はそこまで王座に価値観を見出せなくなってます。

むしろ、田口みたいに戴冠後に実績を積み重ねて認められるというパターンになってきたと思います。その点ではこの後に出場する京口に対するボクシング・ファンの信頼はまだまだですが、可能性は感じられますね。

バレラは強打だけでなく、アウト・ボクシングやスイッチまで駆使してペースを変えようと試みたものの、最後は心を折られた様に見えました。

敢えて言えば、序盤に鼻血を出し、優勢だったラウンドの次は一転攻められるという展開は観客には面白いが、この様に打たれる試合は確実にダメージを蓄積させる。

田中恒成と試合するなら早い方がいいだろう。

今なら勝負になるが、一年後はわからない。

 

それで京口vsアルグメド。

 

プロ・キャリア8戦(アマで経験あるものの)で変則タイプのアルグメドと互せるのは凄いと思う。日本人の福原でなく、やりづらいアルグメドに挑んだのも評価できる。しかし、あまりにも愚直というか、後半のダウンが無ければ、展開も変えられずにそのまま負けてた可能性もあった。

ダウンも含めて、京口が持っていたということかな。今回は相手も変則だし、内容よりも結果が問われる試合だっただけにあまり言われることもないだろうが、あえて言えば、次に防衛戦があった場合に観に行きたくなるかと言われると答えに窮する。

仕返しのつもりかも知れないが、頭突きやホールディングはいささかダーティな印象を与えてしまったとも思う。評価は次の試合待ちかな。

船井の試合は動画配信で我慢するか・・・

 

さて、今回の大会で気になったことは知人もブログで上げているのだが、①長すぎる休憩②もみ合いの多さ③メイン開始が21:00.

特に③。これをやられるとキッツいんですよね。

帰りの足を気にする様な状況では集中した観戦は出来ないです。

 

テレ東アナの8戦目最短王座獲得とか、あのいらねぇー輩をリングサイドに・リポーターになんかでもつけないでもらいたいものです。

  

 

 

21時開始のメイン・イベント

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先日の大田区の興行でメインの京口vsアルグメドが21時開始ということで生観戦したファンから顰蹙を買ってましたが、テレビ局の都合に合わせて、会場のお客さんをないがしろにする悪習慣は相変わらずですね。

さて、そんな状況で行われた試合をあげてみるか。

本当は複数世界戦で21時からの枠があるならば、21時放映開始分をデイレイにするのがいいと思いますけどね。

 

1.佐藤修vsサリム・メジクンヌ(2002・10・9代々木第一)

※確か、事前に21時開始を謳ってました。仕事帰りの会社員に合わせるとか金平会長が言ってたような。しかしねぇ、終われば22時過ぎですよ。会社員の次の日の出勤までは考えれらなかったのですね。

 

2.徳山昌守vs川嶋勝重第2戦(2004・6・28横浜アリーナ)

※これは生観戦しました。一緒に観戦した知人が6R過ぎるようなら帰れなくなるから途中ででも出なければいけない・・・と言ってたものの、まさかの1RKO決着。これこそゴッド・アングル(笑)。

 

3.井岡一翔vsファン・エルナンデス(2011・8・10後楽園)

※これも事前に21時メイン開始を申告してたし、都心の後楽園ですからいいんですけどね。MMAではDEEPとかも毎回22時オーバーらしいし(笑)。(単純に試合数の多さによる。昔のMAキックみたい。)

 

4.山中慎介vsマルコム・ツニャカオ(2013・4・8両国)

※これも事前告知してたから覚悟しての観戦。結果として最終ラウンドまで行ったけど、試合が良かったからいいか。しかし、試合後に飯食ってる暇も無かったのは寂しい。ちゃんこ食いたかったのに。

 

5.八重樫東vsエドガル・ソーサ(2013・12・6両国)

※この試合は八重樫がアウト・ボクシングを完遂した好勝負だったのですが、あまりにも遅い時間になったので前の席のファミリーのお子様がゲーム→うたた寝となってました。

フライ級の防衛戦の中では一番の出来だったのに。

 

そして今回。1時間以上の休憩に遅い終了、よほど内容が良くないと一見さんは二度と会場に足を運ばないと思います。お金を払って会場まで来た人をないがしろにするようなことを無くしてもらいたいですね。

 

内山・三浦引退に寄せて

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三浦隆司が引退を表明し、内山高志も追う様に引退を表明しました。

Sフェザーで一時期は世界を索引した二人は互いを意識せずとも、奇妙な糸で結ばれてるかの様でした。

 

①直接対決では内山が勝利。

 

この頃は両者の力量差は明確に表れてました。心を折られた三浦はこの後に引退を考えたこともあったそうです。しかし、ジムを移籍したことで一方の王座であるWBCの王座を獲得して運命が変わる。

国内で防衛ロードを歩みながらも海外でのビッグマッチ実現を切望する内山ですが、なかなか実現には至りません。

そうこうしてるうちに三浦はV1のセルヒオ・トンプソン戦をメキシコで行い、陥落となったものの激闘誉れ高いフランシスコ・バルガス戦、滅多に見られない激闘だったミゲール・ローマン戦等、海外で試合を積み重ねていく。ラスト・ファイトとなったベルチェルト戦も完全燃焼する様な試合でした。

直接対決では敗れたものの、内山が切望してた海外での防衛戦、そしてビッグマッチを実現させたという点では恵まれたキャリアだった三浦。どちらが幸せな幕引きだったのか考えさせられてしまいます。

左を起点にして相手を削り、強打を爆発させる内山。

攻撃特化型で芯を外しながら圧力をかけて左のボンバーを叩きつける三浦。

今のSフェザー級ではロマチェンコ、デービスという二人のハイテク・モンスターが出現したことで、二人とも前時代的ともいえるスタイルになってしまったわけですが、二人が王者として君臨してた時代に立ち会えたことはボクシング・ファンとしてはこのうえない財産です。

とまれ、二人ともお疲れ様でした。

 

世界の価値は?

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いつの頃からか、日本人選手が世界王座を奪取しても何の感慨も抱かなくなりました。かっての大橋や辰吉、内藤の王座奪取位までは感動してたし、国内で無双を誇った選手が運も実力も総動員してやっと勝てる世界、それが本当の「世界」だと思っていたからだろう。

 

いつの頃からか、勝ちすぎる日本人の敗北を願うことも多くなった。

理由はいくつか考えられる。もちろん、あの一家によって金で王座を買えてしまった例を見てしまったこともある。

しかし、他のボクサーは真剣勝負の舞台を勝ち抜いてベルトを獲ったのである。それでも感動どころか、何の感慨も抱かないことはどうしてなのか?

①認定団体の増加・乱立

頑なまでのWBAとWBCの2団体しか認めない姿勢を貫いてきたわが国ですが、2013年にIBFとWBOを認可。単純に4つの団体のいずれか、与しやすいところから狙うのが露骨になった。

本来なら、統一戦に絡んだり、かっては非認可団体の王者だったために招聘できなかった王者が日本に来日するのではないかという淡い期待もあった。しかし、その希望にかなったのはオマール・ナルバエスのみでした。決定戦も多いし、後はねぇ・・・

 

②国内王座を無視

トップアマとしての実績があって初めて飛び級が認められるが、

加熱する日本王座や老舗の東洋太平洋を狙わずともランク入りできる魔法のベルト、WBOアジア・パシフィックの設立も関係するのではないか。もっとはっきり言えば試されずに上は上がろうとするケースが多くなった。それでも攻略できる王者が増えてしまったということかなあ。

 

今年に入っても久保や京口、木村翔の戴冠には何ら感じるところが無かった。もちろん、久保や京口はそれでも東洋太平洋王座を獲得してるし、木村翔は敵地での倒しての戴冠。

しかし、同程度の名の通った日本人とのサバイバルマッチや挑戦者決定戦的な試合をして来なかったのも事実。それだけに日本王座をないがしろにしたデメリットはあまりにも大きい。

福原はまだこの点が評価できると思いますが・・・

今後は王座を獲得するよりも防衛していくことによって信頼を得ていく時代になってきたと言えるでしょう。

地上波受けするには。(適当)

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井上尚弥の次戦がWOWOWで放映されることになりました。

いままでフジで放映していて、その実力と反比例するかの様に視聴率が稼げなかったらしいですが、これを井上の人気度と結び付けるのはあまりにも短絡すぎる。

カードの面白さが関わってくる分は大きいが、スピードがあり、迫力があり、KOへの期待を途切れさせないのに何故、数字があがらないか。

実はテレビ映えする選手と視聴率という不確実性なものを稼ぐのはまったく別物ではないかと思います。

 

その昔、テレビがメディアの王様だった時代は世間のブラウン管(死語?)に対する食いつきは真剣であり、文字通りテレビからスターが生まれました。原田、具志堅、渡辺二郎、辰吉など。畑山も時代的にギリギリ入るかもしれません。

今と比べれば娯楽が少なく、テレビが大衆娯楽の大半のパーセンテージを占めてた時代です。ネットも出始めの頃は携帯やスマホでなくPCでアクセスせねばならない時代だったので依存率が低かったかも。

一家団欒の場でのスポーツ中継の食い入り度は今とは比較になりません。

対して今は畑山が活躍した00年代序盤と比べると、いろんなものが周囲にあり、テレビは携帯やスマホで見るものと位置付けられ、他のものと並行して流し見することも多くなったのではないか。

そういう時代に求められるのは亀田兄弟や井岡みたいな試合だったのかもしれない。つまり。

①スキャンダラス含めての知名度が高い。父や叔父とか、私生活のスキャンダル(脱税とかね♪)も肥しにしてしまう。とにかく知名度が必要というスタンス。悪名もまた知名度なり。

②試合時間が概して長い、KOへの期待値が低くても長い時間、画面へ露出できる試合ぶり。

判定狙いの試合にも垣間見える攻防の機微とか、技術はお茶の間の団欒には届きにくいが、画面を流し見する程度でBGMにはちょうどいいということなのかもしれない。

 

この時期(2000年代前半位)はK1では武蔵の試合が一番、視聴率が良かったらしいです。つまり、KOへの期待が希薄だが、長い時間画面に露出していて試合が長かったからと谷川氏は語ってました。

そして、そういう展開だから、別に相手がそこそこ知名度があって過去の選手とか別に強くなくてもいいだろ的な発想になってるわけではないでしょうかね?多分。

ま、プロテクトがかかってたこともあったけど武蔵は亀なんかと比較したらいけない位に真っ当なマッチメイクでしたけども。

 

井上もフジを主でなく、従としてWOWOWを主にシフトしてもらいたいものです。三浦や亀海、かっての西岡の様に海外でも構わないのでビッグマッチ路線へ突き進んで欲しいものですね。

フジで放映するならばエンダムが村田に連勝して電通をアッと言わせて欲しいです。

 

 

 

パンチャー考

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今日は休みなので朝から、用階vs根本2などを観てました。

最近の試合と比べると荒々しく、良くも悪くもパワフル。決め手は右に合わせての右クロスだったのですが、この時代はパワー信仰が強く、ジャブで試合を構築するよりも左右フックを振り回していく印象が強く残りました。

70~80年代の国内で活躍するパンチャーには共通項がある気がします。

①筋肉質の肉体、盛り上がった僧帽筋に太くて短い腕。

②ジャブは牽制程度、パワフルに左右フックで圧力をかける。

③防御はブロックとクリンチ主体。

 

アマ出身者でもプロで成功するためにはとパンチ力を強調するスタイルに変更することがありました。用階政弘、ロイヤル小林、上原康恒等。軽量級では具志堅や後の渡辺二郎みたいなストレート・パンチャーも散見されましたが、JRライト(Sフェザー)以上になると当時の技術水準ではフッカーにならないと難しかったのでしょうか。

柴田国明もパンチャーでしたが、決め手は左フックだし、瞬発系だからちょっと上記のパワー系とは趣きが違うかもしれません。

 

当時の日本人の平均体格も影響しての試合スタイルなのかなとも思います。時は流れて90年代になると、上半身の力に頼ったスタイルでなく、身体の柔軟なしないや、下半身との連動の強化、カウンター等の技術の進歩により、パンチャーも多様さを見せてきます。

 

日本人の体形がより西洋の人達に近づいてきたことや映像メディアの発達により、技術の革新が進んだことも影響してるのもあるでしょう。

それでも吉野弘幸みたいな極端なレフト・フッカーが出てきたりするのは面白いものです。

そして現在。山中のゴッドレフト、西岡のモンスター・レフトはいわずもがな。Sフェザーでも内山みたいにストレートでもフックでも倒せるオールラウンダーが出てきたり、ミドル級では右ストレートに決定力を持つ村田みたいな選手もいます。また、三浦のボンバーは昔と今風の中間みたいな懐かしい感じでもありますね。

特に2000年代以降は防御面に関しても空間把握能力に優れ、距離感に長けたボクサーが増えたことがストレート系のパンチの重要性を高めたのではないかと推測します。

昔の試合を見直すことはそこから現在までの流れを辿って、いろいろ類推する面白さがあります。この論拠が正しいかどうかはわからないですが、一つの仮説として読んでいただければありがたいです。

 

村田vsエンダム2への私論

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村田とエンダムの再戦が決まりました。

正直、他のミドル級戦線へはとても入っていけないので、これしか無かったというわけですが、仮に村田が王座を奪取してもちゃんとランカー相手に防衛戦を組んでくれるのかなという不安があります。

村田というボクサーには文句は無いのですよ。五輪金というゆるぎなきアマ実績、大言壮語せずにボクシングに打ち込む真筆な姿勢。

自らもマニアなのでファン心理も掴んで、エキサイトマッチの解説もそつなくこなす頭の良さもある。

試合スタイルは武骨で不器用ながらも試行錯誤を繰り返してるし、天下のミドル級という点で期待も大きい。

 

だが、しかし、その周辺にまつわりつく陣営の意思はあまりにも不純に過ぎる。言うまでもなく、世界戦に至るまでのマッチメイクだが、デビュー戦の柴田戦以外は試練とも見える試合も無く、そのベクトルは亀田路線と変わらないと言ったら言い過ぎか?

対戦相手の質や戦意などから、あの一家と同じ質のことをしてるとは思わないが、向いてる方向性は同じでないのか。そして、そのベクトルの先に世界戦がある点も。

ゴロフキンやカネロとは勝負にならないのは仕方ない、ソンダース相手でも分が悪いし、日本に来たがらないみたいだから、やはりエンダムしかいないのだろう。しかし、王座を獲った後はどうする。

一番不安なのは、村田がエンダムに勝って世界奪取した後に、上位ランカーとの防衛戦をキチンと組んでくれるかということに尽きる。

 

エンダムが王者のままならば、条件次第で敵地に乗り込む姿勢があることは今回も証明された。だから、相手が上位ランカーでも条件が良ければ対戦を厭わないだろう。

村田本人の思惑はともかく陣営はどうか。条件が良くてもとても敵地へ乗り込むことを電通やフジが認めるとは思えない。帝拳もこと村田に関しては亀海や三浦みたいな姿勢を取れないのはこういうしがらみが多いからではないかと推察するが、実際はどうなのか。

 

判定の基準の件もそうだし、マスコミが前戦を村田勝利ありきでのみしか論じてないのが不安を感じる。何か純粋なボクシングとしての魅力以外の余分なものが付きすぎてる錯覚に陥る。これはエキサイトマッチなどでビッグマッチを見るときの高揚感とはまったく別種のものだ。

だから、正直、この試合に危惧は感じるがノレない。

いっそエンダムが完勝してくれた方が素のボクサー、村田が観れる気がするのだが、穿ち過ぎな見方だろうか。

 

 


山中vsネリ雑感。ストップを考える。

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山中王座陥落。

具志堅の記録に並ぶ寸前まで来ながらにしてこの結末は残念。

今回は戦前から山中不利を唱えてる方も多く、その懸念が的中してしまいました。

 

 

山中の調子自体はそれほど悪い様には見えなかったものの、ネリは身体が柔らかく、実況アナが絶叫するほどには左がダメージを与えてる様には見えず、また、不用意にネリのパンチをもらうシーンがあったのはちょっと不安を掻き立てられました。

とはいえ、ここ何度かの防衛戦、V8のサンティリャンや直近のV12カールソン以外の防衛戦はいずれも相手に主導権を前半取られかかっての挽回→逆転劇が多いし、ソリス、モレノにはダウンを奪われてるし、カールソンにも一瞬だけ効かされるシーンもあったので、まだ安心して観てられましたが。

しかし、予想以上の被弾でバランスを崩し、4Rにレフェリーが止める前にセコンドがタオル投入で試合をストップ。試合後の本田会長の発言も含めてセコンドがタオル投入したタイミングの可否が問われてます。

個人的にはリアルでテレビ観戦してたときはレフェリー・ストップだろうが、セコンドのタオル投入であろうが、試合を止めるタイミングには違和感を感じなかった。

あと残り30秒位を山中が凌いで、次の回で逆転できたかどうか、それはわからない。しかし、その30秒の間に決定的な一撃を追加されてた可能性もある。だがすべてのIFを内包して出された結論は尊重すべきではないか。大和トレーナーに限らず、セコンドがタオルを投入することはそういうIFの誘惑を振り切っての決断なのだろう。

 

今回、山中と陣営は今回のセコンドのタオル投入にまったく納得していない様なコメントを残してる。では、自身のセコンドやレフェリーに試合を止められないためにはどうすれば良かったのか。それを彼らに伝えるのも広義での技術ではないのか。

具体的に今回のシチュエーションで止められないためには

 

①防戦一方でなく、自分も手を出して応戦する。

②クリンチで相手の攻撃を寸断して、流れを途切れさせる。

③足を使って射程外へ脱出する、距離を取る、回り込む。

 

つまり、試合を止める権限を持つレフェリーや自分のセコンドに対しても、まだまだやれる、ダメージは思ったほどでないということをアピールというか伝えられる技術を見せるべきではなかったか。

後で見直して、そんなにもらってないと言われても、そのときにダメージがある様に見えたら止めることを優先されるでしょうし、その場でアピールできなければ無意味です。ダメージを抑えて、止められたから、悔しさを感じられる部分もあるはず。

覆水盆に返らず、しかし、新しい盆に水を貯めることは出来るはず。

今後の山中はどう動くのか、どう動いてもその判断は尊重したい。

大事なのは終わったことでなく、これからどうするかなのだから。

 

「おどり」とは何か?

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今月のボクシング・ビートの具志堅会長と比嘉の師弟対談で具志堅会長が気になることを言ってました。

「プロでは”おどり”が必要なのよ!」と。

その意図するところは何なのか、おぼろげながらも思い当たる節があります。ボクシング観戦をすると日本タイトルマッチであっても、知り合いの試合が終わるとメインを観ずにそそくさとお客さんが帰ってしまう光景が見られます。

リング上で動いてる間はボクサーは非日常的な存在になりますが、入場時や試合後のインタビュー等では良くも悪くも普通っぽさが出てしまう事があります。そのため、興味度合いが高くないお客さんを繋ぎとめておくことは難しい。

そういうお客さんを繋ぎとめて、期待感を抱かせる、そういう雰囲気をまとうことが「おどり」ではないのかなと思います。

例えば世界戦はそれ自体を観に来るお客さんが多いので、試合形式自体が「おどり」の要素を持ってると思います。では、そのような舞台以外でお客さんを繋ぎとめるのは何か?

 

相撲やプロレス、プロ野球等を観に行くときに普通の人は何を観に行くのだろうか。日常生活ではありえないプロの技巧や試合、佇まいを観に行くのではないか。ハレやケにおけるハレの部分。

そして、それが「おどり」の意味することではないのかと思うのです。

ネリ・・・

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山中のV13を阻んだネリが試合後の薬物検査で引っかかった模様。

検出されたのはクレンブテロールという養豚などで肥料的に使われる薬物に類似されたものらしいです。

識者の話によると豚肉の摂取で検出されることもあるとのことなので、完全な黒判定は出来ませんが、せっかくの試合にミソが付いてしまったことは残念です。

この辺の詳細は詳しくないので言及を避けますが、問題はタイトルの行方ですよね。単純にネリの王座剥奪→山中へ王座差戻しというのも何とも割り切れないものを感じます。

白判定になって王座移動をそのまま認めるにしても、しこりが残りますね。その場合はより詳細な薬物学的な見地からの説明もすべきでしょう。専門家を同席させるとかね。

問題は黒になった場合と王座の行方ですが、個人的には

①試合結果は無効試合へ変更。

②山中の防衛回数には数えない。

③一旦、統括団体、または地区コミッション預かりで王座は空位扱い。

④改めて王座決定戦を山中とネリを除く最上位優位資格者と行う。

⑤決定戦だが、山中が勝った場合に防衛回数を継続する認定試合方式を採用。

というのが一番スッキリするかと思います。

勿論、黒判定の場合はネリにサスペンドを課すべきでしょう。

ただ、一団体だけサスペンドしても他の三団体にまで影響が出ないのでまったく功を奏さない場合が多いのですが・・・

 

海外ではサプリと禁止薬物の境界が曖昧なところもあり、よく摘発されてます。また、昔、OKだったものが今はダメだったり、その逆で昔はダメだったのが今は認められたりといったものもありますので、なかなか素人判断で勝手に白判断・黒判断で選手の印象をつけてしまう愚挙だけは避けたいものです。

 

夢と現実~夢の章:フロイド・メイウェザーvsコナー・マクレガー雑感

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8月26日は海外で2つの試合が日本のボクシング・ファンとMMAのファンを釘付けにしました。

プロ・スポーツは観客から木戸銭を取って観てもらうものです。試合の内容や結果によっては観客は自分の姿を競技者に投影して夢を見ます。その選手のキャリアがエキセントリックなものであれば尚更。

 

フロイド・メイウェザーvsコナー・マクレガーはまさにそんなカードです。

こんな事は実現しないだろうと思われてたことが実現してしまった例ですね。通常のボクシング競技では他格闘技の経験が豊富でもいきなりスーパースターや元という世界王者と試合を組むことは考えられません。まったく交わることが無いであろう2人が交わった時にどの様な化学反応を起こすのかを楽しむ風情があります。

 

ただ、メイウェザーは偉大な王者ですが、引退を表明してのブランクがあるし、マクレガーもプロ・ボクシングではデビュー戦にしか過ぎないので試合内容を求めるのは酷ですね。

アルドやアルバレスをKOしたマクレガーのパンチはオープン・フィンガー・グローブを着用したうえでの技術ですし、組みや蹴りもあるMMAのルールでの距離・タイミングで放たれてこそ威力を発揮するもの。

メイウェザーは加齢とブランクからくる反射神経の衰えが観て取れました。

個人的にはこの手の試合は1回で結構です。

マクレガーはMMAに専念してこそその能力が生かされるし、メイもこのままだと晩年のレナードみたいな路線を本業でも歩むのかなと不安になりますね。

夢と現実~現実の章:亀海喜寛vsミゲール・コット雑感

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そして夢見るボクシング・ファンが容赦なく現実に引き戻される1戦。

亀海喜寛vsミゲール・コット

 

 

あのコットと日本人が拳を交える!この試合はこの1点に集約されます。確かに過去、日本人がエキサイトマッチで良く見るような海外のスターと拳を交えた例もあります。長谷川vsモンティエルとか西岡vsマルケス弟、西岡vsドネア、山中vsダルチニアン等。井上兄vsオマール・ナルバエスもリゴンドーvs天笠もそうかも知れない。

しかし、いずれもSバンタムを上限とする階級の話。日本人世界王者が何人出ようがボクシング・マニアが熱くならないのは真に層が厚い怪物揃いの階級であるライトやウェルターで勝負できる王者がいないからだろう。せいぜいリナレス位だし。

Sフェザーでは一時期、可能を感じさせた内山は国内で完結してしまったし、三浦も真のビッグネームとは拳を交えられなかった。その様な中でコンスタントに海外で戦ってきた亀海がコットと対戦するというチャンスを掴んだ。

なるほど、これもファンがあわやと夢を見る、アメリカン・ドリームだ。

しかし、残酷な現実を見せられることになる、これもボクシング。

亀海は体格のアドバンテージを生かしきれない。1Rの攻勢には夢を見させてもらったが、2Rからはコットが試合の趨勢をコントロールしていくことになる。

特に目立った差は

①攻防の切り替えのスピード差。

攻防一体のコットに比べて亀海は攻防分離に見える。

②パンチの効かせ方の差

乳酸が溜まってしまったらしいが、亀海のパンチはコットに比べて芯まで届くダメージを与えてる様には見えず、パシャパシャと撫でる様な打ち方に感じた。コットは打ち終わり等を狙うのが上手い。

③フィジカル差

身体の小さなコットの方が揉みあい負けしない。

体軸がブレてない印象を感じた。

結果としては完敗。コットと同じリングに上がるところまでは来たものの、勝ち負けの勝負を競えるまでにはなっていなかったということか。

日本人中量級で第一人者の亀海をして、この差は如何ともし難い。

しかし、これが本当の世界戦だろう。軽量級みたいに同国人だけで回して、テレビもスポンサーも付かない以上は何が世界王者なのかわからない。

敗北という現実を受け入れざるをえないが、リアル世界戦の興奮を味わえたという点では我々はまだ、この競技に夢を見ることが出来るのかも知れない。

 

 

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