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Channel: リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論
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残酷な天使のテーゼ

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今年も既に半分が過ぎました。世界王者が何人もいて、一見すると活況を呈してるはずの業界が閉塞感に苛まされてる気がします。簡単に言うと例年に比べても金払って観に行こうという気にさせてくれる試合が余りに少ないからマニアでも国内事情に乗れないのではないか。

複数世界戦開催が当たり前に成り過ぎて、王者の数ほど興行数が増えていない。単純に相手次第ではあるが単独でメインを張れる王者は山中と井上、井岡(大阪限定)位ではないのか。河野や田口、八重樫には不安と不満しか感じられない。
集客が駄目でもその階級での強さを感じられればいいのだが、これとても山中、井上に期待は抱けるものの他の王者には残念ながら、その階級においてのトップ争いに加われるとは思えない。癒着してるマスコミやテレビの売り込みで無意味な記録狙いを目指されても白けるばかりです。

地域王座はどうか。金払って観に行くつもりになるのは日本タイトルマッチだけだが、それとても上位ランカーが王者の王座返上を待っての決定戦狙いで好カードが無くなると観戦意欲が減退する。
暫定まで認めてしまったOPBFや未だに無価値のユースは言わずもがな。そしてWBOの地域王座まで認可しようという動きは何を言わんかやであろう。

もうねぇ、業界全体に強烈なショックを与えるカードを大手が協力して組んでしまうしかないんじゃないか。それも井上vsロマゴンみたいな海外開催も考えられる組み合わせでなくて、日本開催が前提で一見さんもマニアにも強烈なショックを与えられる組み合わせ。考えようによっては敗者の競技者人生に大きな影響を与えるかもしれないが、そもそもボクシングの大試合はそういう類のはず。

それは山中慎介vs井上尚弥ではないかと個人的に思います。
山中自身はビッグマッチを求めての転級はあるかも知れないが、無理して階級を上げなければいけないほど減量に苦しんでるわけでもない。一方、井上に関しては将来的にはバンタム転向を視野に入れてるのはまだ身体が大きくなってきてるからでしょう。山中の年齢的なこともあり、充実気にある間に何とか実現させてもらいたいと思うのですけども。

夢物語として一笑に付してしまいそうなカードが実現したときは業界内だけでなく、世間にもインパクトを与えることがあります。古くは小林弘vs西城正三もそうでしたし、90年代の薬師寺vs辰吉や00年代の畑山vs坂本などがそうでした。
薬師寺vs辰吉に関しては電車の中でNumberの特集号を読んでたら、見ず知らずの人から「どっちが勝つと思います?」など普通に話しかけられたこととかありましたからねえ。しかも数回。
階級とか細かいことまで世間の人はわからないけど、今、世界王者がこんなにいたら誰が一番強いのかと疑問に思うことでしょう。そうしたら近い階級で実績があるもの同士を戦わせるのが一番、現実的ではないでしょうか。
4団体加盟で世界王者があちこち出来ても、皆が勝手に相手を選んで防衛戦をやってる状況はヌルいだけです。かってボクシングの世界戦は敗者が即引退になることも珍しくないほど、残酷な舞台だったはず、だからこそ勝者には比類なき栄誉と金銭が手に出来たのです。
今後、いくらベルトを増やしても喜ぶのは記念に形になるものを得たいという方々のみ。
ファンはその選手が誰とどういう試合して、どのような結果を残したのかを気にしますが、タイ人相手にユースや暫定王座の獲得まで記憶してません。単なる思い出を自分達の中に創るのでなく、あくまでもファンの心の中に残る思い出を創る様な試合を提供出来なければ、歴史の中で淘汰されていくだけでしょう。


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