国内外でビッグマッチ、注目試合が集中した今週。
8日の有明はamazon prime、9日の吉野vsシャクールはWOWOWで観戦しましたので思った事、感じた事をつらつらと。
まず有明。世間からも注目されてた天心デビュー戦は終わってみれば良くも悪くも想定内という感想。
youtubeで公開されてるデビュー前のスパー等を観た時に感じた様にスピードがあり、当て勘がいい。防御面でもポジショニングが上手く際での対応が早いので意外と隙が無い感じ。
反面、現段階ではパンチに力感が感じられなかった。相手の顔面の表面を傷つけることは出来るが、芯まで響く様なパンチは数に対して少なかった印象。キレとカウンターみたいなタイミングで倒すタイプかも知れない。動きはなんとなくウィテカーっぽかったな。ダウン奪っての判定勝ちだから上出来ではないか。
帝拳は下手にKO勝ちへ繋げようとしてタイ人相手のマッチメイクを組まないで欲しい。
他の試合の感想をば。
阿部麗也vsキコ・マルチネスはマルチネスがまだまだ倒す力を有してるだけにポイント大差リードして逆転KO負けというのが、最悪のシナリオだと思ってた。
そのため、この試合に関しては判定勝ちでヨシ!
ただ、阿部は今後、外人と戦っていくうえでもう少し力感が欲しい。
佐々木尽vs小原佳太。
この試合は正直、小原に勝って欲しかった。後楽園で試合を結構観てきた選手には思い入れがある。これは吉野も同様。
しかし、この日入場してきた佐々木にはオーラが出てた。過去の減量失敗という不祥事、そして多くのバッシング等を経験してきてなおかつ、ボクシングへの愛情を確認したであろう彼はボクシングの女神に愛されつつある様にさえ見える。
2Rに小原がダウンを奪ったときは画面に向かってガッツポーズしてしまったが(笑)、3Rに佐々木の勢いに飲み込まれてしまって完敗。この日来場したファンに強い印象を残した。
ウェルターという階級だけに世界へ繋がる道もえらく険しいが、この勢いのままどこまで突っ走れるかも楽しみだ。
ただ、防御面をもう一ランク上げる必要があるのかも。
井上拓真vsリボリオ・ソリス。予想通りの内容と結果。
拓真は国内であれだけハードな路線を勝ち抜いてきて、肝心の世界の相手がソリスですか・・・実年齢はもっと行ってるとの噂。
拓真はパンチ力そのものはあると思う。後楽園含め、何試合か生観戦したときに序盤にかなりの力感と迫力を感じたし、相手も相当バランスを崩す場合もあった。
しかし、それが何故かダウンやKOへ結びつかない。
ソリスの顔面に打ち下ろした右がクリーンヒットせずに上滑りしてる様にも見える。ほんのわずかなアジャストかも知れないが、それが大きな変化を呼び起こしてしまうかも知れない。
判定は問題無いが公式程の差は感じない。
このままのスタイルを突き詰めていくのはいいけど、プロとしての魅力は感じられないかな。ピンで世界戦をして観に行く気になるスタイルではないですね。
寺地拳四朗vsアンソニー・オラスクアガ。
この日はこの試合に尽きる。寺地がメインの大任を見事に果たした試合でした。興行のメインを意識したのか、それとも那須川天心という存在を上回ることを意識したのか、序盤からハイピッチで飛ばす寺地。「おいおい、大丈夫かよ。」というのが正直な印象。とてもフルラウンド想定とは思えない。
短期決着でインパクトを狙ったのかも知れないが、代役オラクスアガの敢闘も素晴らしかった。寺地の強打がガードの隙間から入ったり、ボディで動きが止まったりしたものの、ラウンド後半に意を決した様に反撃して寺地を後手に回らせる。
8R終了時のインターバルでポイント優勢のはずの寺地の疲労が激しい。心なしか弱気になってる様にも見える。
しかし9Rにそんなことをおくびにも出さずにオラスクアガに迫っていき打ち合いで圧倒し、ダウン奪ってストップ。まさに激闘。
天心が連れてきてくれたであろうボクシング初めて層にも届く試合をした寺地は凄い。まさにプロ。そしてまず思ったのが、この日の寺地の相手がジョナゴンでなく、オラスクアガで本当に良かったということ。ジョナゴンだったら打ち合いに応じないので技術戦にはなるだろうけど、拓真vsソリスからの流れでそんな試合になったらちょっと会場の雰囲気も微妙になりますしね。
アナウンサーの言い間違えとか、細かい不満はありますが、それでもamazon primeの放映は満足しました。
そして翌日のWOWOW。
オープニングのキーション・デービスを観て、この選手に勝てる国内ライト級がいるのかというと・・・メインを前に不安が募った。そしてメインはそれが的中することになる。
単に予想するなら圧倒的にシャクールだろうが、吉野は何かやってくれるのではないかという期待もあった。しかし、シャクールは何もかも別次元だった。
2度のダウンも奪われてるし、正直5Rのインターバルでストップが勧告されると思った。結果、試合は続行されたものの、あのストップは仕方ない。吉野のタフさだともう数ラウンドは耐えられたかも知れないが逆転の可能性は無かったし、ダメージを無駄に蓄積されるよりはあのストップで良かったとは思う。
他にもアフマダリエフやフンドラの敗北、バムの苦戦などもあっていろいろ尽きない2日間ではありました。
いろんな味が楽しめる2日間。マスコミに所属しつつも舌が馬鹿になってる味音痴には関わって欲しくないなと個人的に思います。