ジャレット・ハードがエリスランディ・ララに勝利した1戦は根源的な強さを持つ者が競技の中で鍛え上げた者に勝利したという意味で印象的な試合でした。勿論、あくまでも比喩ですが。
ボクシングに限らず、人が格闘競技をやるうえでの根源的な欲求は所謂、喧嘩に強くなりたい(他人よりも強い自分でありたい)というものが大半を占めてると思います。
言うまでもなくボクシングと路上の喧嘩はまったくの別物ですし、比べるべくもないですが、たまに想定外の選手が出てきたときに比喩的に喧嘩に強そうな・・・とか路上に・・・実戦では・・・等と形容されることがあります。あ、亀とかはコケ脅しですから除外ですよ。
1.アーロン・プライヤー(米)
※見た目、まったく華麗でなく、華も無く(笑)ガチャガチャした印象を持ってましたが、教科書的な強さと上手さを持ってるアルゲリョを2タテにしたPFP有力候補。定型の型も決まっておらず、どんな体勢からでも右でも左でも強いパンチがドンドン打てるのは強みだった。
2.アントニオ・マルガリート(メキシコ)
※大柄な体格とパワーで相手をゴリゴリ削って潰していくスタイル。
コットとの1戦目は衝撃的だったし、リスクに見合うリターンが見込めなかったにしろデラホーヤが戦わなかったのは正解だったかも。
バンテージに異物混入とパッキャオ戦の惨敗でミソがついたものの、相手にとっては心底嫌な対戦相手だと思う。
3.ビクトル・ラバナレス(メキシコ)
※まるで教科書に反するかの様な大きめのモーションからのフック、アッパーは見栄えも良くないが迫力はあった。そして、それが当たる。
事実上、辰吉の才能を削った張本人。同系のアルマンド・カストロに圧勝したのは見事だ。とにかく生き物として強いという印象を持った。
後年、MMAに挑んでDEEPで村濱に秒殺されたのはいただけませんが・・・
4.オーランド・サリド(メキシコ)
※被弾構わず圧力をかけてく前進とタフネス。勝つために手段を選ばない試合ぶりは感心しないが、それでも金になれば強敵との対戦も辞さない姿勢で築いた分厚いキャリアは日本のどこかの長男とは根本的に違う。
まあロマチェンコに勝つために体重超過+禁止薬物は言語同断ではあるものの、そこまでして勝ちたかったというべきなのか。
5.ジャレット・ハード(米国)
※無類のタフネスとパワー。
ララ戦ではまるで歩く様に接近してパンチを見舞うオラオラ系の面も見せたが、トラウトを破ったときみたいに上手さを見せることもある。日本人だと井上がIBF2位になったけど、あの圧力は捌けないんじゃないだろうか。理屈でない強さを感じる。
ボクシングとは格闘技であり、スポーツであり、ポイント・ゲームとしての面もある多面性を有してるものですが、対面の格闘競技である以上は所謂、タイマン、素手ゴロでの強さを競うという部分は不変であると思います。
リング上でのスタイルはそれぞれ。喧嘩そのものはNGですが、喧嘩の匂い、暴力の匂いを垣間見せるボクサーはいつの時代でも独特の魅力を醸しだしてくれるものです。