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Channel: リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論
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愛しさと刹那さと打たれ脆さと・・・

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ボクシングの魅力はKOにありますが、特にワンパンチKOにカタルシスを感じる方は多いと思います。それが逆転KOなら尚の事。

しかし、自分の応援してる側が一転、その被害者になると何とも言えない寂寥感があります。そのギャップがまたこの格闘技の魅力ですけどね。

さて、強打とともに一発で試合が終わってしまう可能性を秘めたグラス・ジョーの持ち主達。ある意味、観るものにこれほど感情移入させてくれる選手はいませんでした。あ、コウジとか坂田みたいにスロースターター癖がある選手は除きます。彼らは回復も早いし、逆にこれでエンジンかかったという感じなので。

 

1.笠原優(SB川口)

 

 

※まさにキング・オブ・グラスジョー。世界戦で洪秀煥に5度のダウンを奪われたのみならず、大体の試合で1度は打たれてグラつく見せ場があった。磯上には実際にKOされてしまったけども。

当時のボクマガではガードの事を言われてたけど、体質とか顎の形とかそちらの影響が大きいのではないかと思う。

 

2.柴田国明(ヨネクラ)

 

 

※強打と打たれ脆さを併せ持った刹那的な天才パンチャー。

サルディバルやビラフロア1みたいに鮮やかな試合を見せたり、ラウル・クルスやラミロ・ボラノスをKOしたみたいに見事な強打や詰めを見せたりする一方でクレメンテ・サンチェスやビラフロア2、エスカレラにはアッサリとKOされる脆さもあった。しかし、それも含めて印象に残るボクサーだ。

 

3.川島郭志(ヨネクラ)

 

※90年代を代表する安定王者。その卓越した防御技術は打たれ脆さをカバーするために磨き上げられたものだった。キャリア前半での渡久地や川島光へのKO負け、世界防衛戦での李承九戦での11Rのダウンで圧倒的優勢が一転して大ピンチになったのも印象深い。

 

4.大和田正春(角海老宝石)

 

 

※赤井をKOして脚光を浴びた元アンダードッグ。先天的なボクシング・センスの高さと強打を持っていたが、絶望的な顎の弱さから大成を阻まれていた。赤井戦まで既に8敗していてそのうち6度がKO負け。

しかし、赤井戦後も2連続KO負けも無限川阪に無冠戦とタイトル戦合わせて2連勝後は勝利開眼。5連続KO防衛は立派。

 

他に映像を観たことがありませんが、山口鉄弥なども故・佐瀬稔氏の著書によれば強打と打たれ脆さを併せ持つ刹那的な選手だったみたいです。

ボクシングにおける破壊と滅びの美学。その一瞬の刹那さが我々、ファンを何年経っても引き付けてやまないかも知れません。

 


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