三浦vsバルガスをようやく観ました。バルガスは今までの対戦相手の中ではおそらく最強だったでしょうが、第一印象としては勝てる試合を落としてしまったなぁと思いました。
三浦はもともと攻撃特化型サウスポーで防御は余り得手では無いイメージがありますが、実際に帝拳移籍後の世界戦ではバルガス戦以前にダウンを喫したのはトンプソン戦位です。ハルドンやデイブとの防衛戦で見られる様に圧力というか攻撃力で一気に仕留める試合が印象的ですが、防御に関しても完全に避けたり、ブロックしたりするのでなくて実際は食らってる様で芯に効かせない柔らかい受け方をしている様に見えます。かっての小堀みたいな感じでしょうか。
激闘型でありながらもダメージの蓄積を感じさせないのは単なる肉体的な耐久力だけでは無いからでしょう。勿論、圧倒的な攻撃力のプレッシャーで相手を委縮させてしまい、攻撃力を削いでしまうという効力もあったればこそと思いますが。
ただ、今回は少なからず場所(ラスベガス)からくる自身へのプレッシャーもあったのでしょうか。また、バルガスが初回に腰を落とさせて自信を得たのか、三浦の圧力に下がらず、右ストレートを効果的に使用していたのもサウスポーの三浦には不利に働いたのかなと思います。ダウンを奪われた後も完全にペースを渡していたわけではないですし。後は三浦が8Rで仕留め切れなかったのが悔やまれますねえ。もう10秒位残り時間があったらKO出来なくても、次のラウンドでのバルガスの反撃が削がれていたのではないかと・・・タラレバになってしまいますけどね。
今回みたいに最強の相手を迎えて、結果王座陥落しても内容によってはファンは称讃を惜しみません。勿論、勝負の世界なので勝ち負けは一番大事だと思いますが、それで推し量れない部分は必ず出てきます。単に表面上の記録狙いに腐心してるよりもファンの心に大事な記憶を残します。これも立派なプロの仕事であり、価値だと思います。
そんな戦いを近年の試合から。
網膜剥離を患っていたことを隠して試合をしてた鬼塚が最後に迎えた最強の相手。勝っても負けても引退を決意してただけに最後は勝つことよりも納得することに重きを置いた打撃戦へ突入していき壮絶に散りました。マスコミ受けは決して良くなかったけど、試合後の記者会見終了後には控室でスタンディング・オペーションが起こったのは感動的な話です。
最強の相手を迎えて何度もダウンを奪われて完敗したセレスですが、勝者ムニョスにその強さ、怖さを刻んでいきました。後に何人もの日本人選手と対戦するムニョスですが、一番強かったのはセレスと事あるごとにコメントしてました。
鬼塚とセレスは残念ながらこの試合を最後に引退してしまいましたが、三浦は既に再起を宣言。バルガスとの再戦に向かうのか、ライト級へ上げるかはわかりませんが、今後も我々ファンの心を爆発させる様な試合を期待してます。