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Channel: リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論
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ウェイティング・サークルでの過ごし方

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日本王座や東洋王座を返上して世界挑戦を目指す、世界挑戦に失敗して次のチャンスを待つ。
順番はそれぞれの状況で変わってくるでしょうが、じっと与えられたマッチメイクをこなして、ひたすら機会を待つ場合とアグレッシブなマッチメイクで積極的に優先順位を上げる場合とに別れる様な気がします。
まあ、後者の場合はファンも感情移入しやすいし、仮に残念な結果になっても内容次第ではリカバー出来る場合もあります。直近の例で言うと小原や英国に乗り込んでいく天笠などが該当しますか。
問題は漫然と与えられたマッチメイク(無気力タイ人との対戦が主流)でひたすらチャンスをじ~っと待つ場合。
次戦や次々戦で大きな試合があれば、取りこぼしをする危険性を極力少なくしつつ、試合勘を鈍らせないための調整試合が必要なのは重々承知してますし、ボクシングである以上は100%思惑通りで進むわけでないので、思わぬリスクがどんな試合にも存在することはわかってます。
しかし、先が見えない状況でひたすらタイ人やインドネシア人と調整試合を何戦もこなすのは単にキャリアの無駄使いでしかないし、そんな試合ばかり見させられるファンも迷惑なのですよ。予定調和でKO勝ちして喜ぶのは身内だけですから。

例えば大竹、帝里木下や清田の世界挑戦後のマッチメイク、日本王座返上後の小國などは先の展望がとても見えない。和氣などは世界挑戦が後一歩で具体的になるだろうからここに上げるのは違うだろうけども、本番前に1戦だけでもハイリスクな日本人対決が組まれてれば世界への期待値はもっと違ってきていただろう。
特に最近は昔と比べて、あの選手ってどうしてたっけ?と不意に動向が思い出せないときもあるが、年齢のせいとばかりは言えまい(笑)。ファンにそう思われてる段階でどうなんでしょうか。世界戦のウェイティング・サークルに入っていてもバットの振り方が本気か惰性か、見られてるのを気にして欲しいものです。


メイウェザーになれない男達。

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その時代を象徴する選手の模倣をすることでボクシングやあらゆるスポーツは技術革新を遂げて、今日に至るわけですが、模倣が高じてしまって立ち止まってしまう選手もいますよね。
例えば70年代にヘビー級にスピード革命をもたらしたカシアス・クレイことモハメッド・アリ。


実力派のラリー・ホームズをしてアリのコピーという幻影に苛まされましたが、ホームズなどはコピーだとしても優良な方です。アリ以降のタイソン出現までの間に頻発したヘビー級の劣化コピーは目を覆う程でした。84年のロス五輪ではアマにすらアリ・シンドロームが蔓延してたとしか思えない状況です。ティルマンとかドークスとかバービックもねぇ・・・


90年代に業界にセンセーションを巻き起こしたのはナジーム・ハメド。既存のボクシング・テキストのセオリーをあざ笑うかのごときファイト・スタイルはハメド以外が下手に真似すると痛い目に合う。そう、ビチットにハメド流挑発をして見事にKOされた山口圭司の様に。
後にイングルが育てたジュニア・ウィッターも思ったほど、ハメドしてなかったですし、このスタイルはハメド一代限りなのでしょうか。


ちなみに国内では川島郭志の首振り(パンチの進行方向に首を振って流し、威力を殺す→首を戻す反動で相手のパンチの引き際にカウンター)が大流行。4回戦ではボディを叩かれて首を捻ってしまう失態も続出しました。


そして現在ではフロイド・メイウェザーをプロト・タイプに多くの選手がメイをも模倣しようとしましたが悉く、失敗してます。

有名所ではアンドレ・ベルトやエイドリアン・ブローナーは明らかにメイウェザーにインスパイアされた構えと試合展開ですし、エロール・スペンスJRもそうですね。国内では大場浩平もそうだったでしょうか。
完全コピーしてオリジナルを凌駕する位までになれば認められるでしょうが、峠をすぎたであろうベルトはともかく、ブローナーなんかはリング外の傍若無人な振る舞いまで込みでメイウェザーを意識している様に見えるが、劣化コピーの域を脱しきれないのは勿体ない。本来ならもっと上に行ってるべき選手だと思うし、大場もその素質を開花しきれずにキャリアが終わってしまった感がするのは、必要以上にメイウェザーの模倣に関わってしまったからなのかなあと思います。

いろんなスタイルがありますが、自分は、やはりクラシカルなスタイルに惹かれます。チャベス父やラミレスに代表されるコテコテのメキシコ・スタイルやGGGみたいなクラシカルなスタイルが個人的好みかな。刺青を身体中に入れて残念な風貌になってしまったけど、コットもいいなと思います。

パッキャオのベスト階級はどこなのか。

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マニー・パッキャオの引退試合をようやく見終わりました。
過去1勝1敗のブラッドリーから2度のダウンを奪って判定勝ち。約1年のブランクにも関わらず、あのブラッドリーに完勝というのが凄い、本当に辞めてしまうのですね。
ところでフライ級からSウェルター級に至るまで戦い続け、6階級を制覇したパッキャオの本当に一番良かった時期とはいつなのか?ファイト・スタイルの変換とともに検証してみようと思います。

①フライ~Sフェザー前半



※初期のパッキャオの魅力は荒々しく、野性味に溢れていたことです。フレディ・ローチとはアメリカで出会ったわけですが、初期の頃は下手に短所を直してスポイルさせるのでなく、長所を伸ばして、ノビノビとやらせていたように思います。だからこそ、被弾厭わず、思いきった踏み込みからくる左が良く当たったのでしょう。
山中や西岡など日本人選手の場合は緻密な計算と技術の結晶としてゴッド・レフトなり、モンスター・レフトが機能してましたが、パッキャオの場合は本能と本来の資質によるものという印象で野趣溢れるイメージがありました。フィリピン時代は野性味がありすぎて、メッグンとの防衛戦前に体重超過をしてしまったこともありましたねえ。

マルコ・アントニオ・バレラやファン・マヌエル・マルケスとの1戦目はまさに闘争本能を全開にした様な今以上に攻撃的な試合をしてましたが、パッキャオ自身のドキュメンタリー映画の中でローチが語っていた様にエリック・モラレスとの1戦目で負けたことが試合スタイルを見直すキッカケになったみたいです。

2.Sフェザー後半~Sライト





※この階級でSフェザー級の世界王座を獲得したのがマルケス兄との2戦目(08年3月)なのですが、一番勢いを感じたのは06~07年頃のWBCインター王座を保持してた頃です。モラレスとの2、3戦目をグゥの音も出ないほどの倒しっぷりで制し、バレラとの再戦は技術戦で圧倒。他にもラリオス、ソリスを破ったこの頃が昇り調子の勢いを一番感じさせてくれました。
そしてマルケス兄との2戦目こそスプリットの際どい判定だったものの、ライト級王座を奪ったデビッド・ディアス戦、体重差が戦前に問題視されながらも圧勝したデラホーヤとの1戦あたりから右の使い方だけでなく、ポジションを重視した多角的なアングルからのコンビネーションを取り入れた試合が目立ってきたと思います。
そしてキャリア上、ベストKOともいえる09年のリッキー・ハットン戦に繋がるわけで、ウェルター級転向初戦となった次戦のミゲール・コット戦と踏まえてこの頃のパッキャオが一番、充実していて強かったのではないかと個人的に思います。
メイウェザーがキャリアを中断せず、この頃にパッキャオ戦が実現してれば去年以上のビッグマッチになり、かつ世間的にも反響を起こすような内容になっていたかも知れないなどと夢想します。



3.ウエルター~Sウエルター

※この頃になるとキャリアとしては円熟期に向かいます。マルガリート戦やクロッティ戦みたいに圧倒的な手数を出しながら大差判定勝ちという展開も多くなってきますが、決してパンチが軽いからというわけでなく、相手の平均的な体格が大きくなってきたこともあり、本格的にKOを狙うと逆に倒される可能性が高くなってきたことでパッキャオ自身の戦い方がよりスピードとポジショニング重視になってきた様に思います。
決してパンチが無いわけでなく、よりダメージを被らないで勝ちを狙う戦い方にシフトしてきたという印象ですか。それでもモズリーに恐怖感を与え、モズリー以外にもアルジェリ、ブラッドリーなどからダウンを奪ってます。そして最後まで安全運転に頼らずにアグレッシブに攻めて行く姿勢がKOから離れて久しくなったパッキャオであっても魅力を減じることが無かったのでしょう。



個人的には一番強かったのは09年位(ハットン戦~コット戦)だと思いますが、一番魅力的だったのは世界王座獲得前の06~07年位です。バレラとモラレスの所謂、メキシカン・ダービーの時代をたった一人で終わらせてしまったことが印象的でした。そしてカネロを含め、魅力的なメキシカンは私の中ではそれ以降は出てきてません。(バルデスはちょこっと期待。)
そういう意味ではパッキャオは自分のボクシング・ファン史の中でも重要な位置づけに来る選手かなあとも思いました。とまれ長い間、お疲れ様でした。
下手に復帰することだけは避けて欲しいです。ハグラーみたいに去り際も格好良く決めて欲しいです。

ワタナベ、ユース増やすってよ。

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遅きに失した感がありますが、渡辺会長の協会長就任後のマニフェスト(笑)が散々なもので早くもファンから総スカンを食ってます。実際のお人柄は知りませんが、何人も移籍希望した選手を受け入れたり、その中には荒川や木村隼人、ヨシケン、国重など名の知れた選手が加わってるのを見るにつけ、選手からは慕われてる良い会長なんだろうなと想像します。
しかし、一般社会でもそうですが、実際の人間性と仕事に対する評価は別問題。
特にファンあって成り立つプロ・スポーツでは立ち場が上になれば厳しい目線に晒されます。

前任の大橋会長と比較するとその駄目さ加減は明らか。せっかく亀田式を除去して良い方向へ進んで行こうとしてるのに逆行してどうするの?という感じです。

特に悪名高いのが、日本ユース王座の設置とWBOオリエンタル王座の認定。
端的に言って、これ以上に運営出来ない、ランキングも設定出来ないタイトルを増やしてどうするということですが、ユース王座自体が亀3の救済措置で設定されたのが生き続けてるだけなので、彼らが追放された今だからこそ全撤廃をお願いしたいのですがねぇ。
真面目に防衛戦してるのは比嘉くらいですが、彼とても日本王座に挑む試合の方が興味を掻きたてられます。拳四朗みたいに次戦で間髪いれずに日本王座へ挑んだのが一番、頭がいい使い方だと思いますが。

そこで提案なのですが、要は「王座」とか「ベルト」に拘るから防衛戦だのランキング設置はどうするだのという懸念が出てくるわけですが、トロフィーみたいなものにしてワン・マッチでの賞金マッチ的なものにしてはどうだろうと思います。実利があった方が選手もいいでしょうし。
要は×××ユース杯争奪戦みたいな形にしてしまって、勝者にはランキングなり、日本王座挑戦なりを約束する形にしてしまった方が次に繋がると思うんですけどねえ。
ユースならば若手同士のイキのいい選手同士の上を狙うサバイバルマッチになりますし、タイトル戦と名打ったカマセ相手の防衛戦よりは面白い試合を提供出来ると思うのですが。

あとはノーランカーの外人招聘禁止項目がインドネシアやタイでなく、フィリピンというのがいかにも業界的な事情が透けて見えて嫌な感じです。フィリピン人がカマセ仕様だったのはせいぜい90年代位までですよ。ルイシトとパッキャオの頑張りでノー・ランカーでも上昇志向が強い選手が増えてきたので、規制すべきところは違う気もするのですがね。ハッキリ言ってこれはワザと分かって言ってるでしょ(笑)。

↑↑↑ここはすいません、自分の勘違いでした。フィリピンのノーランカーの招聘解除ということですね。まあ、今呼べてる選手が一定以上のレベルということなので、下手に解除するとまた90年代に逆戻りする危惧がありますね。むしろタイやインドネシアのノーランカーの招聘禁止というのが一番いいのかな。

女子に関しては、世界ありきの現状の仕組みを一度、全部壊さないと意味無いですね。
今の状況で日本王座を作っても世界戦や東洋のタイトルマッチを経験してる人達が賛同してくれるかなあ。これこそ遅きに失した感がありますが。

何だかんだ文句言ってますが27日は大田区行きますよ。内山の試合はタイトル戦ですが、河野と田口の試合は無冠戦だと思って見ます。水増しランカーとの防衛戦で防衛階数伸ばして亀田とやってること同じだろとマニアに言われて悔しくないですか?
特に個人的には河野も田口も日本王者以前から応援してきた選手なだけに、せっかく世界王者になったのに今の様な扱いをされてるのは残念です。強い相手とスリルある試合を行うのが世界王者が世間やファンに対して追う責務ではないでしょうか。

待つことよりも挑むこと

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27日のワタナベ興行は観戦予定ですが、内山の試合がちょこっと引っかかってくるだけで田口も河野もランダエタも世界戦という括りで心にかかってきません。これはノン・タイトルと等価値だと思ってボンヤリ見る感じかな。
国内情勢がそんなどんよりとした雰囲気の中、海外で果敢に強敵に立ち向かい、上を目指そうとしてる選手もいます。しかも名前のあるロートル相手でなく、強敵相手のハードマッチメイクで揉まれ続けている骨太の選手や無敗の勢いのある相手に敵地で挑みます。
こういう選手は所属や階級、キャリアに関係なく応援したい。この様な選手の試合をこそ、テレビ等は追って伝えていくべきで、手前味噌なお手軽スターの増産をし続けてるから「テレビばかり見てると馬鹿になる」と昔から揶揄されてきたのですよ。まあ、人を馬鹿にする番組を作るのもインテリジェンスが必要なので、無知を晒すような番組しか作れないからWOWOWの一人勝ちなんでしょうね。
せいぜい船橋界隈に存在する情報弱者を量産するだけに留まってるのが現状ですが(笑)。

①亀海善寛


亀海の狙ってる階級はある意味、本当の世界。ここまでの海外での戦積を見ると芳しい数字ではないが、国内でじっとチャンスを待つよりも海外で何とか活路を見出そうとしてる姿勢が素晴らしい。ゲレーロ戦や今回のソトカラス戦では内容が評価された。あとは結果が付いてくれば・・・アルフォンソ・ゴメスに負けてるのが痛いけど、頑張ってほしい選手です。

②天笠 尚


無名無敗の昇り調子の相手でも果敢に対戦を受けてたつ気風の良さ。かっては誰も戦いたがらなかったリゴンドーにも挑み、結果は完敗ながらも2度ダウン奪う健闘は記憶に新しい。
ここ最近はともかく、リゴンドー戦以前も国内では李洌理や竹中、ルフィーノなどとも激闘を展開してきただけに上に行くのに強敵厭わずの姿勢が痺れます。


他にも今月22日に南アフリカでベチュカに挑む溜田剛史(ヨネクラ)や勝ち星には恵まれないけど、マーク・ジョンヤップなど難敵ばかり厭わず戦い続けるベテラン久高などはボクサーの本質を体現してる様で格好いいと思います。
ベルトを賭ければいいというわけでなく、王座の価値が激減してる今だからこそ、「誰」と「どのような」試合をして、どういう「結果」を残せたのかも踏まえて、本質的な評価を見定めていきたいですね。タイ人ばかりと5戦、10戦続けて試合して、ず~っと待つだけの選手よりは魅力的ですし、ハードな路線を歩んでる選手の試合にこそ金払ってでも観に行きたいですね。

4・19岡田vs麻生2観戦記

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27日の大田区観戦が決まってあと1大会位は事前に観に行きたいなと思ってました。
実は14日も考えていたのですが、さすがに3週連続観戦は家庭人としては後ろめたいので悩んだ末に本日を選択。テレビ中継の有無もあったのですが、やはり岡田vs麻生の1戦目が激闘との評価が高かったのも決定要因です。

平日の後楽園ですが、ドームの野球と馬券売り場のおっちゃん達の熱気にあてられてか12000円と最終的には4000円の自由席は完売。会場内も仕事帰りの人達が19時過ぎ当たりから続々詰めかけて最終的には8割位にはなったのかなあ。南はちょっと空席も目立ちましたが、バルコニーから見渡す限りは南西北は満席みたいだったし、自分の周辺も人口密度が高かったです。

試合の方はNO-TVながらも露出が多いラウンド・ガールや休憩無しで突っ走る興行進行はいい意味で真っすぐな角海老興行という感じです。
アンダーで2試合目、ヘビー級4回戦の後にミニマム級6回戦。しかし、試合の面白さや迫力はミニマム級の試合の方があったのだからわからない。前半ペースを奪われかけた市川が試合を挽回しかかった矢先の逆転KO。勝者の高橋は後半、スタミナが切れかかったかパンチがやや上ずってたものの、好機を逃さない集中力は見事でした。この試合が前座のベストバウトかなあ。
A級では関豪介のガチャガチャした忙しくも好戦的なスタイルが客席を沸かせたが、負傷判定で幕。
土屋がタイ人を豪快に仕留めて荒川へ挑戦表明。実現すれば面白いカードだけど、中谷へのリベンジが先ではないのかな?とも思った。
小國は荒々しく攻めてくるタワッチャイに手を焼きながらも5RにKO勝ち。和氣に判定まで粘ったタワッチャイを綺麗に仕留めたのだから評価していいのでは。少なくとも土屋の相手のタイ人よりも戦意は感じられたし。メキシコあたりのランカーと1~2戦挟んでから次へ進んで欲しいのでタイ人ばかりとやって待つだけの展開にはしないで欲しいですね。

そしてメイン。麻生が顔面をガードで固めながら徹頭徹尾、プレスをかけてくる展開。
足を使い、何とか距離を取ろうとする岡田はポジション取りにやや苦戦しながらも手数は落ちない。ガードの隙間を縫う様なアッパー連打や多彩なコンビネーションで麻生の顔面を切り刻む。
時折、麻生のパンチが炸裂して場内を沸かすが、この戦い方では善戦出来るがポイントは取れない。5R終了時に岡田のフルマークに見えたが、49-46が一人いてちょっと驚いた。
結果、7Rに岡田が出血TKOで勝利を収めたものの、ここ何戦かいい倒しっぷりをしてることから考えると苦戦の部類に入るかも。小原だったら倒した様な気もする。

次は岩渕かOPBF王者のアル・リベラとの対戦が観たいと思ってた矢先に岩渕が引退表明したみたいです。残念無念。しかし、つい一昔前と比べても中量級の国内の充実度が高くなってきた気がします。勿論、世界との差はまだまだあるものの、国内で凌ぎを削って、本当の世界を予感させてくれる選手が輩出されて欲しいものです。

超・実力派宣言 GGG&ロマゴン

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今回で3度目のロマゴンとゴロフキンの共演興行ですが、珍しく明暗が別れてしまったみたいです。
体調や対戦相手との実力関係、相性などを勘案すれば、どちらかに不満が残る様な内容になってしまう可能性は常について回るので仕方ないですが。

暗はロマゴン。タイソンもメンタルが乱れているときにあった円形脱毛症が気になる。勝って当たり前とか言われてるとプレッシャーもかかってしまうんだろうな、ロマゴンは倒して当たり前にもなっていることだし。
アローヨは岡田に4回戦で負けてるものの、もう一つの敗北であるアムナット戦もタイ以外なら勝っていたであろうと言われる接戦でした。紛れもない強豪なのだが、それでも倒すだろうというのがロマゴンへの期待。
結果、大差の判定勝ちだけど、KO当然と思われてるとフルマーク判定でも不満を感じる人が出てくるのは仕方ないかな。KOへの期待が高いから軽量級でもスター候補なんだし。
ここはアローヨの善戦を褒めるべきか。ただ、ロマゴンは悪い時はそれなりの戦いが出来るにしろ、リカルド・ロペスなどと比べるとムラっ気がある様な気がする。Sフライまで上げるのは難しいので井上戦はフライ級のうちにやって欲しいですね。

ついで明のゴロフキンですが、こちらは相変わらず盤石です。相手のウエイドが食い足りないにしろ、文句の着けようがない勝ち方。リーチが長いウエイドに左ジャブをビシビシ当てまくり、1R後半にダウンを奪うと2Rにアッサリとケリを付ける詰め方はさすがとしかいいようがない。
村田よりもコットやカネロとビッグマッチをやらせて欲しいけど、その二人は露骨にゴロフキンから逃げてるし、階級上げてウォード位しか対戦を受けてくれないのかな。
何だかんだでこの二人が現代ボクシングのアイコンになることで超・実力派宣言がなされて、弱気なマッチメイクを繰り返すスター選手が糾弾される様になればいいですね。

日本人絡みでいえば南アフリカでの戸部の地域王座獲得やベチュカ相手に奮戦した溜田なども気になる存在です。先日の亀海や天笠にも言えますが、海外でチャレンジを繰り返していく選手には感情移入してしまいます。トライ&エラーを繰り返してる現状ではあるものの、近い将来、きっとその挑戦は身を結ぶものと思います。

世界は残酷だから~4・27大田区観戦記

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今回、マニアには評判が良くなかったワタナベ興行ですが、平日なのに客足が早く、客入りも満員になりました。今回はhigegeさんやパンクロッカー氏と一緒に観戦したのですが、あまりにも予定調和なマッチメイクに私も含めて3人とも試合前から場内の優しい熱気と対照的に期待感の無さ夥しい(笑)。頭の中は早く終わらせてもらって蒲田で飲みに行くことばかり、それほど感情移入出来なかったわけです。ま、それでも1万円の席を買って観に来たのは番狂わせへの期待もありましたが。
アンダーの4回戦が終わって2試合目で久我登場。タイ人相手だから2R位でアッサリと仕留めるだろうし、石本戦で見せたキレキレの強打だけ観れればいいやと思っていると、キレも生彩も感じられず、被弾も多くてモタつく展開に。前戦や前々戦とは別人みたい。宮崎vsファーラン以来の番狂わせになるかと思われましたが、帳尻合わせる様に5Rで勝利(溜息)。

京太郎は的確なコンビネーションでオーストラリアのネイサン・マッケイに判定勝ち。一発狙いのネイサンのパンチを食らってモタつく場面もありましたが、クリンチや足で誤魔化し、ポイントをピックアップ。文句ない勝利ですが、やはりヘビー級で京太郎は小さいのかな。クルーザーあたりが本当は理想なのかも知れないですね。

そして3大世界戦ですが、その前に最近の複数世界戦で見られる傾向として試合前に国家吹奏を全部済ませてしまうのはどうなんですかね。テレビの放送時間や現地の進行時間の都合もあるのでしょうが、選手や役員、関係者がリングに上がって国家を聞いてこその世界戦セレモニーだと思うのですが。これでは手抜き感が拭えません。

さて、予定調和的マッチメイクが2試合。
田口vsランダエタはランダエタが随所で巧さを見せるが、田口の圧力と手数に削られて、ボディを中心に5度のダウンを奪われた挙句、最後は最終ラウンド前に試合を棄権。最近の戦積や37歳という年齢の割に頑張ったけど、世界王座を賭けてやる試合では無かったな。

河野vsインタノン・・・3度のダウンを奪った後にKOを意識し過ぎて、力みがあるパンチを連打した河野。結局、大差判定勝ちでしたが、まるで河野が昔行っていた東洋のタイトルマッチみたいだな。何の感銘も受けなかった。

世界戦でこんな(自分達だけかも知れないが)弛緩した空気は初めてかも知れない。
しかし、内山vsコラレス。まさか、この1試合だけで入場料の元を取ることになるとは。調整失敗の情報が流れてだけに戦前は内山が左で削って、ボディで仕留めてKO防衛と予想してたのですが大外れ。
コラレスは減量失敗に関しては、三味線を弾いてたのではないかと思う位のキレのある動きでした。しかも変則的な間合いからパンチを飛ばし、頻繁にスイッチするために肝心要の内山の左ジャブが機能しない。間合いを詰められて顔面にパンチをモロに食らう内山を見るのはいつ以来だろう。
そして2R。3度のダウンを奪われた内山がまさかのKO負け。個人的には1度目のダウンで止められてしまっても文句は言えないと思ったし、あんな倒れ方をしても立ちあがって試合を続行した内山には脱帽です。
内山の敗北は残念だったけど、勝てば称讃の渦に包まれ、負ければ引退も示唆される、その残酷さがボクシングや格闘技のリアルです。世界王者の数が多いにも関わらず、人気停滞が危惧されてるのはこの日の様な予定調和的なマッチメイクの防衛戦が余りにも多くなってしまったからではないか。
しかし、図らずも内山の敗戦がボクシング本来の勝利と敗北のコントラストを明確に打ち出してしまった。内山の敗北は残念だけど、この残酷さ、切なさこそがボクシングの世界戦の本来の姿ではないでしょうか。今後、内山はどうするのか?具志堅超えなどと浮かれていた陣営の思惑は見事に外れ、最悪は引退という選択肢も示唆されている。
本当に、いや、「本当の」世界は残酷だから・・・

ムエタイ選手の国際式記録(サガット、チャモアペット、センチャイ)

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最近、国際式ボクシングでは90年代のフィリピンの如く、カマセ供給国として一部から重宝されてるタイですが、国技ムエタイに代表される格闘王国なだけにこの様な扱われ方は何とも言いようのない不満を感じます。
サーマートやカオサイ、カオコーなどのギャラクシー兄弟みたいな成功例を扱うのでなく、ムエタイで一流だったけども国際式で後一歩・・・という選手を扱ってみたいと思います。

1.サガット・ペッティンディー:14戦12勝(9KO)2敗
http://boxrec.com/boxer/47436


※わずか3戦目でウィルフレッド・ゴメスの世界王座に挑めたのはムエタイの名声あってこそ。
結果は3RでKO負けですがこの映像だけは見つからないんですよね~。誰か見られるサイトがあったら教えてください。そして86年10月にOPBF王座を獲得してますが、普通に初来日の1ヶ月前というのが凄い。3度防衛して88年2月の試合が最後になってます。
防衛戦の相手が負け越しの戦積の相手もいますが、この時代の記録はまとめきれてないところもあるので映像を見ないとどの程度の相手と試合したのかはわからないですね。
89年3月と9月に全日本キックに来日してるので、この後は海外でキック(ムエタイ)に注力していくことになったのでしょうね。

2.チャモアペット・チョーチャモアン:11戦10勝(6KO)1敗


※ご存知、7階級にまたがるムエタイ9冠王。一部ではムエタイのポイント・ゲーム化を促進した功罪が問われてますが、緻密な試合運びと防御の際にも崩れないバランスの良さが美しい。国際式でも巧さを見せましたが、転向がちょっと遅かったかなあ。
5戦目でPABAのフェザー級王座獲得、5度防衛したものの99年5月に熊本で福島恭四郎(島)に判定負けして国際式引退。この時点で37歳だったそうですが、この翌年3月にK1で前田憲作に勝ってるから凄いものです。

3.センチャイ・ソー・キングスター:5戦5勝(2KO)
http://boxrec.com/boxer/547089


※2002~2004年の間に5戦をタイで戦ったのみでムエタイでの圧倒的な戦積に比べると片手間感は否めませんが、国際式だと世界王者になれないと大した稼ぎにならないから、見切りを付けるのも早かったのではないでしょうか。

ポンサクレックみたいにムエタイを経由せずに国際式を行ったりするタイ人選手を見ると隔世の感があります。(イーグルも国際式のみでしたっけ?)

井上、八重樫5・8有明雑感

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GWは仕事に明け暮れ、会場観戦はおろかカネロvsカーンもまだ見れてない状態です。
昨晩、遅くにフジの中継を録画したものを見れたので思うところを徒然と書いていきますか。
地上波放送に期待するだけ無駄である。これはここ10年来、わかりきったことではあるのだが、あまりにもひどい中継だった。TBSを抜いて今はフジが一番、糞ではないのか。こんな局に井上と村田の放映権を渡してしまってる現状が哀しい。
国家吹奏は勿論、選手入場やコールまで省略。あげくは井上のインタビューも入ってなかった。
2試合とも判定だから仕方ないといえばそうなのかも知れないが、タダだとこんなものなのかも知れない。金払って契約するから、生中継でなくてもいいからCSで完全版を毎回やってくれ。G+はその点偉いなあ。
井上押しの実況はかっての亀田押し、最近の井岡押しのTBSアナ陣に負けず劣らずの気色悪さ。
WOWOWの一人勝ちになるわけだわな。

さて、八重樫vsテクアペトラ。八重樫はリーチが短く、攻撃の起点はショート連打にならざるをえないが、身体が堅いからなのか、頭の位置が一定でいかにも見栄えが悪くパンチをもらう。後半の追い上げで2-1判定をもぎ取った感じだが、目が腫れてから反撃に転じる様ではいくら頑丈でも壊れてしまう。激闘型もさじ加減を間違えるとサンドバッグになってしまうので、より打たれない試合を見せて欲しいですね。ソーサ戦みたいな試合希望。

井上vsカルモナ。井上は即効で畳みこんで仕留めるか、そうでなければ一方的でもメリハリに欠けて試合が長引いてしまう様に思います。例えば東洋奪取したマンシオ戦やライトフライ級時代のV1戦のサマートレック戦みたいな。
拳を痛めやすいのが欠点だが、そういう状況でもそれなりの試合が世界戦でも出来るということを証明したのが今日の試合の収穫だった気がする。特に10Rはメイウェザーを意識したかの様なL字ガードやパンチを当てて、スッと相手の射程距離から離れる仕草は、かっての大場やブローナーよりもそっくり。
メイの前足を意識してるとボクビーの飯田との対談で語っていたので、出入りも含めて意識してたのかなとも思いました。
井上の試合はKOへの期待が続くので観客は緊張感を持ってフル・ラウンドを観れるけど、やや単調になってしまうキライがあるので最終ラウンドの様な見せ場をもうひとつ、ふたつ欲しいところですかね。

ロマゴンもアローヨ戦では調子が良くないときにそれなりの試合を見せましたから、井上も相手次第で出来ムラが出ることの無い様な安定感が欲しいものです。

地域王座増設で業界活性化はしない

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渡辺新会長がWBOのパン・パシフィック王座の認可を提案したそうです。
OPBF王座獲得がWBCのランク入りに直結する様にこの王座もWBOのランク入りに直結するのかも知れませんが、ユースも含めてこれ以上、無駄な王座を増やして何がしたいのですかね~。
昔、ジョーさんが仰っていた日本ランカーを10傑から12傑(15傑までだったかな?)まで増やすことで地方の興行に箔を付けるという意見もありましたが結果として集客に結びついたとは言えませんでした。
今回もそれと同じじゃないですかね。ユースを認可しても田中裕士が名古屋で満員のお客さんを集めたわけではないし(田中恒成が集客の目玉だったことは確実。)、斉藤司が八千代でやった興行も普通に大量の無料券が出回ってた位ですから、WBOパン・パシフィックで本当に効果があるのでしょうか。
これらの王座の存在意義は海外でしか戦えない相手と戦うための理由付け位ではないでしょうか。例えば、石本はこの王座を獲ったことよりもバスケスJRに勝ったという事実の方が大事なわけでして。

糞味噌一緒にして既存の王座を同列で語る人もいますが、根本的に昔から扱われてる日本やOPBFの王座とこれら新興王座は価値が違う。王座の価値とは、誰から奪って、誰を相手に防衛戦を重ねているのかの歴史の積み重ねであって、それを運営していくためのランキングなどのシステムが整って機能していることが必須条件です。
王座を増やすことで既存の王座を狙わないで上を狙うという逃げ道が出来てしまう。亀3の救済措置で認可したユースがどれだけここ数年間で防衛戦を行ってきたのか、または誰と行ってきたのかを考えるといかに無駄な事かがよくわかる。
ジムの力関係もあるかも知れないし、コネの占める割合が多いかも知れない。地方のジムにはなかなか中央へのチャンスが巡って来ないのも事実だろう。しかし、あちらが駄目ならこちらというのはいかがなものなのか。王座を本気で狙うなら地元でタイ人ばかりと試合して無為にキャリアを過ごすよりも、ランカーに挑んでチャンスを分捕るなり、かってのA級トーナメントや最強後楽園(いまはミリオン後楽園)で優勝してカーニバルでの指名挑戦の権利を掴めばいいのではないか。これらのトーナメントが消滅したのは賞金云々でなく、リスクを冒してでも参加する選手が激減してトーナメントが組めなくなったからと聞いているのですが。
タイトルは誰でも簡単に挑めないから価値がある。千載一遇のチャンスに挑戦者は全てを賭け、王者は既得権益を必死に守ろうとする、そういう凌ぎ合いだからこそ観客は金を払って会場に駆けつけるし、テレビ中継があればチャンネルを合わせるのだろう。誰でもお手軽に狙える王座を幾つ増やしてもすぐに人気復興には繋がらない。

海外のスター選手みたいに王座を超越する価値を持つ選手が出てくるなら話は別ですが、日本の市場はまだそこまでになっていない。だから王座の扱いは大事にすべきだと思います。

高山・・・

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田中恒成が転級に伴う王座返上で空位になったWBOのミニマム級世界王座が高山勝成とOPBFの暫定王者となった加納の間で決定戦が行われるかも知れないとの記事を見かけます。
加納は暫定王座決定戦で1位のメルリト・サビージョを下しての戴冠ですし、高山も過去の同級での実績から2位昇格とのことなので理屈としては通るかも知れません。
しかし、高山の今までの道程を見続けてきたファンとしては何か釈然としない気持ちもあります。
これは2014年の大晦日で行われた大平とのIBF、WBOの両王座決定戦に感じた時と同様の感覚です。組み合わせとしては面白いけど「世界」の冠を課すには格不足。残念ながらそういう評価の組み合わせで世界を名乗る試合が昨今、あまりにも多くて辟易します。しかもWBOの王座は獲得直後に返上してしまったわけだし、結局は周囲が画策したであろう田中恒成との統一戦も実現に至らず。

中央のマッチメイクで不運を託ちながらも、逆風に逆らって有言実行で業界の荒波を生き抜いてきた高山も大TBS様の庇護のもとでは、変わってしまったのかなあと寂しく思います。それでも2014年8月のメキシコで行われたフランシスコ・ロドリゲスJRとの統一戦までは雄々しく、夢を見られる高山だったのですが・・・やはり大平戦がターニング・ポイントだったのでしょうか。

ライトフライ級への転級を宣言した矢先のこの話。しかも、以前に獲得後、同じTBS系列の選手に対するタライマワシ感が否めない返上した王座です。誰と戦うかよりもベルトや記録優先に針を振ってしまってる現状がかっての高山を見てきたものからすると変心したみたいで、寂しい。

ミニマムに留まる理由があるとすれば、暫定だったWBAの正規王座を狙うことではなかったのか、それとても最近、安定王者と見られていたヘッキー・バドラーが王座陥落してしまったことで挑む動機が希薄になってしまったのかも知れないが、WBO狙いはそれ以上に意味が感じられない。
かって強い王者がいれば、それに挑まない理由は無いとしてミニマム級王者時代のロマゴンにも立ち向かった高山もキャリアの集大成を考えて守りに入ってしまったのか。
一部の身内受けしかしない様な試合しかしなくなってしまったボクサーにプロとしての魅力は感じられない。高山にはまだ期待出来る部分があるということを何の面識も無い1ファンに見せて欲しい。

無駄な世界王者はいらない

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高山勝成と加納睦の対戦が世界戦として決定したみたいです。ランク的には問題無いのかも知れませんが、世界も軽くなったなあと実感します。これをミニマム級の層の薄さを原因にする意見もありますが、ワンヘンみたいな王者も他団体にいるわけですから、抜け穴を探そうという意識が露骨でなければ正規の権威を保てそうなものなんですけどね。
高山と加納という組み合わせ自体はリスクもあるし、興味深いカードですがこれを世界戦という舞台、しかも王座決定戦でやってしまうということが身内以外のファンから批判されてるのでしょう。スタンスとしてはかっての高山vs大平と同じかな。

さて、今、日本にはマニアでもたまに忘れる位の人数の「世界」王者がいるわけですが、この中で何人が本当に世界を冠するに相応しいのでしょうか。
いろんな定義がありますが私が思うには次の条件が必要ではないかと思います。

①指名試合をクリアしてること
②国外へもその名前が発信されてること:昔はともかく、この情報化時代ですから。
③単体で興行、またはテレビ中継が成り立つこと
※船橋ホストの情弱さんはコメントを差し控えてください。完全シカトしますけど。

ま、こんなところでしょうか。そして、それをクリアしてるのは内山陥落後は山中慎介と井上尚弥だけ、相手次第で井岡一翔というところなんでしょうかね。申し訳ないが田口や河野、八重樫も上の条件をクリアしきってるとは言えないので自分の中では東洋以上世界未満のスタンスです。
リナレスは海外を主戦場にしてるから別格ですが、高山にしろ加納にしろ、これに勝って王座を手に入れても自己満足の域を逃れません。

ミニマムでもライトフライでもちゃんとした王者やランカーはいるのですが、それを避けて抜け道を探してる様にしか見えないのが我が国の現状です。ベルトを巻いてるから凄いのではなく、強い相手から奪ったベルトを巻いてることが凄いのです。

本気で出直しをするならば

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一度、チャンスを掴み損ねた選手は再度の機会が巡ってくるまでは、じっと時間が経過するのをやり過ごすか、自分で危険を冒してでもチャンスを掴みにいくのかが別れます。陣営の思惑もありますし、対戦相手との巡り合わせや相性の問題などもあります。
しかしながら、ファン的にはグイグイと攻めの姿勢を貫いているボクサーに感情移入してしまいます。プロ・スポーツ選手の寿命が延びたとはいえ、機会が巡ってくるのは本当に一瞬。待ち続けてるうちに自身の能力が劣化してしまうことがあるのは仕方無いことなので、アグレッシブにチャンスを掴みに行く攻めの姿勢をこそ、地域王者、世界ランカーにまで昇格した選手たちには貫いてもらいたいと思います。それがプロとしての感動を呼び起こす要因になります。
一部関係者や身内などにしか通用しないのでは本当の意味でプロでないですよ。
さて、そんな貴重なキャリアを無駄にしか費やしてない様に見える選手達。これは期待の裏返しなのですよ~。ファンに金を払わせる相手と試合してくれい。

①大竹秀典(金子)



※クィッグ戦後はタイ人相手に3連戦。今度はパナマの選手と試合するみたいですが、戦績は9勝(2KO)8敗とか。Sバンタムは王者も強いので小國とか石本と競り合いをする位でないとチャンスは再び来ないと思います。もう調整試合はいいのでは。



②帝里木下(千里馬神戸)



※テテに敗れた後は5連勝も4名がタイ人。最暴具にはスプリットだし、倒し癖を付ける試合はもういいんじゃないですかね。Sフライ~バンタムなら国内でも対戦相手が一杯いますから、ファンに期待を抱かせるマッチメイクをお願いします。



③五十嵐俊幸(帝拳)



※八重樫に負けてフライ級王座陥落後、フィリピンやメキシコのそれなりの相手と戦ってはいるものの、負傷判定が多くてスッキリした試合がほとんど無い。6戦5勝(1KO)1分はいい成績だが6戦中、負傷判定決着が3試合(引き分け含む)というのは試合スタイルや距離構築に何か問題があるのではないか。Sフライなら戸部あたりとやってくれないかな。

列の後ろに並んでじっと待つよりも危険を冒しても飛び級を狙う選手をこそ、ファンは支持するのだと思います。やや淀んだ感じの国内戦線の活性化にもなりますし、何よりも自身の存在感を高めることになると思いますので、我々が足を運びやすくなるマッチメイクをお願いします!

お知らせ


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アメンバー限定公開記事です。

具志堅vsマルカノ1観戦記

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先日、ご縁がありまして、昔のボクシング・マガジンなどを頂きました。
水・木と休みなのでじっくりと読んでいたのですが、具志堅vsリコベルト・マルカノの1戦目って余り語られたことないよな・・・と思いました。痛烈なKO劇で世界戦連続防衛記録を更新した2戦目や大苦戦の印象強かったハイメ・リオスとの2戦などと比べるとインパクトに欠ける印象です。

それでも例の「狂気に生き」下巻~疑惑のタイトルマッチ~では著者がホーム・タウン・デジションで具志堅が勝ったかの如く書き方をしてるし、採点はそんなに離れてないし・・・改めて見直してみました。
ちなみに当時のボクマガではマルカノ勝ちにしたベネズエラ人ジャッジを断罪してます。同時に具志堅フルマークに付けた日本人ジャッジにも。

さて、試合ですが会場はテレビ画面上からは満員に見えたのですが、ガゼット座談会では興行的には失敗だったでしょうと書かれてます。主催者発表で観客は5000人ですが有料入場者が3500人位、函館の人(プロモーター)が札幌でやったから失敗したとかなり突っ込んだ事が書いてあります。さすが昭和のボクマガ。
試合自体は当時の風潮としてはV1のリオス戦が大苦戦だったのでグスマン戦のインパクトが求められたこともあり、報道陣側としては満足いかない様でしたが、なかなか内容は今見ても面白かったです。
変則的なリオスと対照的に正当派のマルカノはサウスポー対策を兼ねてか、常に具志堅の右足の外側に自分の左足を置くことを意識してた模様。左に回るだけでなく、右回りの際も左足を具志堅の右足の外側に置いてました。そしていきなりの右が主武器らしく、具志堅は試合後に一番その右を警戒していたことも当時のボクマガの佐瀬稔氏の観戦記に記されてます。
1、2Rは具志堅が出方を伺っていたこともあり、やや後手に回った印象。
しかし、3Rあたりから前手の右をジャブだけでなくフックとしても用いてペースを掴みます。
7Rにはマルカノの打ち終わりを狙ってのコンビネーションが効果的。8Rからはボディで削り、続く9Rには開始早々の右フックをテンプルにぶち込んでマルカノをグラつかせた後にボディで「く」の字にさせます。
この試合の具志堅は攻撃面だけでなく防御面も見事でした。打ち終わりに一定の場所におらず、サイドなどへ出る、肩と距離でマルカノの攻撃を外し、バランスを崩さずに連打を返していく。
どこが具志堅は攻撃特化で防御に難有の偏りがあるボクサーなのだろうか。あの本がドキュメンタリーとはいえ、いかにある事実(著者にとっての真実という妄想)に拘ってしまうと盲目的になってしまうという危険性を孕んでいることがよくわかる。何より試合は、映像は何がリアルかを雄弁に語りかけてくれる。
マルカノがとったかもと言えるのは1,2、14R位。私的判定は10点法で147-138、具志堅の勝ち。確かに具志堅のフルマークもどうかと思うが、それ以上に具志堅の1差勝ちや負けはこの内容では無いだろう。

マルカノはアウト・ボクシングに徹したのではなく、単に劣勢なだけだった。
この試合も十分に「ペレア(戦い)」だった。マルカノがペレアが出来なかっただけであって。狂気に生きた作家の書いた本は作家の狂気の妄想にしか過ぎなかった。

※件の本は上下巻とも購入して何度も読んでますが、上巻は傑作だったと思います。

追悼モハメッド・アリ

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カシアス・クレイ、モハメッド・アリが亡くなりました。
その時代を象徴する歴史的なアイコンとして、ボクサーの枠を超えた存在だったアリですが、当ブログの特質上、あくまでもボクサーとしての功績を偲びたいと思います。
優れたボクサーは多くのボクサーのサンプリングとなり、その影響は後世まで受け継がれます。アリはスタイル的にシュガー・レイ・ロビンソンに影響を受けてるでしょうし、アリに影響を受けたフォロワーは時代を問わず、世界に多く存在してることでしょう。レナード然り。
近年、アンソニー・ジョシュアがヘビー級に中量級のボクシングを取り入れたと識者に評されましたが、アリはヘビー級に軽量級のボクシングを取り入れたのです。しかも当時のヘビー級で大柄であったにも関わらず。

カシアス・クレイの時代があのまま続いて、ベトナム戦争の徴兵忌避によるブランクが無ければどうだったのかという歴史のIFに思いを馳せることもあります。
一ボクサーとしての技術の到達度はより高みを目指せたかも知れない。しかし、足が動けてる状態ならばフォアマン戦におけるロープ・ア・ドープへ辿りつくこともなかったから、あの試合に関しては勝敗が逆になっていったかも知れない・・・クレイとしてフォアマンの豪打を空転させてより完勝だったかも知れないが。
そしてフレイジャーやノートンとはどういう立場で拳を交えることになったのか興味は尽きません。
リング外におけるパフォーマンスは対戦相手のみならず、政治的、宗教的な見地から国家そのものへ向かいます。そしてスポーツ選手の枠を超えた存在になったのはアリにとって幸福だったのか。
人間アリとして、伝道師のアリとしてあのブランクを作ったのは正しかったのでしょう。しかし、ボクサーとしてのクレイ(アリ)にとっては、あのブランクを作ってしまったのは悔恨でしかありません。
しかし、あの時代があったからこそ、アリが時代のアイコンとなり、ボクシングのステイタスが高まったのも事実。それらを含めての歴史なのかも知れません。そして今、一つの時代が終わりを告げました。カシアス・クレイ、モハメッド・アリに合掌。ご冥福をお祈り致します。

今こそアリを語れ

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モハメッド・アリが亡くなられて数日が経ちました。テレビ朝日では12日に猪木戦に絡めた追悼番組を流すみたいですが、この試合を通してしかアリを語れない文脈の貧困さが我が国のスポーツ文化の程度の低さを表します。
勿論、猪木vsアリ戦そのものに関しての歴史的意義、MMAやプロレス等のジャンル、ことに我が国の総合格闘技に与えた影響を加味すれば十分にこれからも語られるに値する試合ではあるものの、それは今ではないだろうというのが本音です。また、これだけしか語れないとしたらスポーツ・マスコミどころか報道人失格と言われても仕方無い位ですね。

リング外においては人種差別との戦いから、ブラック・ムスリム入信、ベトナム戦争徴兵忌避等を通じて政治的・宗教的な見地から、良くも悪くもその時代を象徴する存在となったアリですが、本来のリング内の戦いそのものにスポット・ライトを当てて欲しいというのがボクシング・ファンとしての自分の切なる願いです。

カシアス・クレイの時代の華麗な戦いと、ブランク明けのモハメッド・アリとしての衰えを自覚したうえでの戦略的な戦い(時には横着にwww)。その戦い方の返還に一人のボクサーとしてのキャリアの推移が見て取れます。
クレイの時代はまさに「蝶のように舞い、蜂のように刺す」戦いでしたが、生来の繊細な部分を隠すための大言壮語も見逃せない。出世試合となったリストン1での試合前の血圧の急激な上昇や、試合途中でワセリンが目に入って見えなくなったから試合放棄寸前だったのをアンジェロ・ダンディに発破をかけられてリングに送り出されたなど、あのビッグマウスも自分を鼓舞して追い込むためであったことがわかります。
アクシデント的なリストンの脱臼放棄による勝利も若きクレイに自信を与えて2戦目での完勝に繋がるわけです。あまりに鮮やかなKO劇に八百長視する向きもあるのが皮肉でしたが。
華麗さという点では67年のゾラ・フォーリー戦までの時代が全盛だったのは論を待たないでしょう。クリーブランド・ウィリアムス戦然り。

70年に再起したときのアリはボクサーとして磨かれた身体的な機能を何割か錆付かせてました。そしてそのうちの幾ばくかはもう取り返しが付かないことも衆目にさらされたのが、ジョー・フレイジャーとの1戦目でしょう。ほぼ一方的なポイント・メイクを許し、15Rにフレイジャーの左フックでダウンを奪われたときにアリは自分の衰えを意識したはずです。
そして、方向転換を図ります。華麗なスタイルから老練な戦略家へ。

キンシャサの奇跡といわれたジョージ・フォアマン戦で見せたロープ・ア・ドープは一説によるとカス・ダマトの助言と言われてます。アンジェロ・ダンディの戦略はあくまでも足を使ってのアウト・ボクシングでした。
そしてかの戦法は随所でアリの窮地を救い、加齢により失われたスタミナを補う戦略として有効に機能しました。レオン・スピンクスとの1戦目以外は。あの試合では序盤からロープ・ア・ドープに固執してペース配分を読み違い、若いレオンの勢いに飲みこまれてしまったと思います。
しかし、再戦でそれを学習して雪辱を遂げたあたりがボクサー、アリの終幕に相応しいのではなかったのでしょうか。
あとの2戦。ラリー・ホームズとトレバー・バービックの二人とは戦う必要が無かったはず。
もし、この2戦を行ってなければ、まだ健康的に晩年を送れていたのではないかと思うと残念な気持ちになります。正直、この2試合だけは見直す気にもならない痛々しい試合だと思います。

アリに対する追悼、アリについて書かれた書物を読み、アリの試合を見直し、アリのことを語り継ぐ。ボクシング・ファンとしてはそれが一番のアリへの供養になるのではないかなと思います。

それ、もしかして八百長?~亀田家以前の紛いもの~

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近年、あの一家の呪縛に苦しめられてきた我が国のボクシング界ですが、あの有害物質を育む土壌を一部築いてきてしまったのは否めません。必要悪とかビジネスのためというお題目のために消しようのない汚点が過去にもありました。
頂いたボクマガを読んでいて思ったのですが、コング斉藤に関する批判と近年のあの一家に対する事無かれ主義が対象的過ぎて、やはり昭和のボクマガには偏屈な、硬骨漢な記者の方々が揃っていたんだなあとの思いを強くしました。本の厚みは同じでも中身が違う。

日本ボクシングの黒歴史として平成の亀田騒動と昭和の日本IBF、真相は未だ闇の中の毒入りオレンジ騒動などがありますが、ことリング上に関してはコング斉藤とミッキー・ロークの笑劇が双壁か。記憶に新しいミッキー・ロークの猫パンチはともかく、コング斉藤の空気パンチもなかなかだったみたいです。ここまで酷評されてると逆に観てみたいような・・・

1.コング斉藤vsストーニー・ランド(米)




75年にデビューして2連続KO負けの後、ランド戦の前までに5連続KO勝ちしたのですが、当時のボクマガによるとコミッション不在のオクラホマでの実質、草試合だったみたいです。2ヶ月で4試合とかやってますからね。
そして例の凱旋試合ですが、斉藤が2RKO勝ちしたものの相手のランドが一発もそれらしいパンチを打たずに当たったかどうかわからない斉藤の右で寝てしまったみたいです。さすがにこれは不味いと思ったのか、その後は長岡、ビッグ丸山といった日本人とガチ勝負させて1勝2敗で姿を消したわけですが、これなどはまだJBCに自浄作用があったから単なるスポット的な汚点で済んだ例ですね。当時のボクマガでも相当ぶった斬られてます(笑)。
階級的にタイトル云々では無かったものの、ミドル級の長岡と生き残りマッチを行わせたりしてますし、それを受け入れた陣営にも今となっては潔さを感じます。(褒めすぎ?)

2.ミッキー・ロークvsダリル・ミラー



百聞は一見にしかず。伝説のやおちょ・・・いやいや猫パンチ。
まぁリーゼント・ナックルよりはマシですがねえ(笑)。今となっては笑い話ですみ上記2試合と比較して、実際に世界タイトルまで買ってしまったあの一家の罪は重いです。例の裁判で安河内氏の勝訴が決まったみたいですが、復帰しても亀田家に関わる一切のものを業界に関わらせない位の念書は必要ですね。
速やかな記録抹消をこそお願いします。
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