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Channel: リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論
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ホームズ王朝の終わり~ラリー・ホームズvsマイケル・スピンクス2レビュー

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  第一戦はこちら

前回の試合で相手を舐めてたこともあっただろうけど、ジャッジに余計な暴言を吐いて印象を悪くしたことも判定に多少なりとも影響を与えたのかなと思います。そんな状況下で復讐に燃えるホームズがスピンクス弟に挑んだ再戦をレビューします。
時は1986年4月29日、所はラスベガス・ヒルトン。

前回と異なり、ホームズの気合が凄い。入れ込みすぎと思う位でクリンチ際でうっちゃる様に投げ飛ばす一幕も。1Rはそんなホームズに気押されしたのか、または様子見か、スピンクスが打ったパンチは7発に留まりました。
2Rにホームズの右がテンプルに炸裂してスピンクスがグラつくシーンも。3、4Rもホームズ攻勢でここまで私はホームズのフル・マーク。(とは言え4Rは微妙かも)
序盤、手数を押えていたのかスピンクスのパンチが5Rから増えてくる。特に左フックと左のジャブが度々ホームズを捕えて行く。6R微妙ながら7,8Rはスピンクスが取り8R終了時に私的採点ではイーブン。
9Rはホームズがカウンターを取れば、10Rはスピンクスが再三、右アッパーを好打して挽回。
11,12Rはホームズが右を決めて攻勢、スピンクスの変則的なリズムが読まれたかの様な展開、しかし13Rにはスピンクスが左フックを皮きりに細かい連打で攻勢点を取り返す。14Rもスピンクスがほぼラウンド支配をして、このままズルズルとスピンクスがペースを取っていくのかと思いきやホームズが右でダメージを与え、スピンクスをダウン寸前まで追い込む。これでこのラウンドは明確にホームズが取り、また混沌としてきました。
そして最終の15R。ここでスピンクスがガチャガチャした動きでホームズを翻弄して終了。

私的採点は143-142で1差ホームズ。14Rを10-8にすると143-141で2差ホームズに。
公式採点は144-141、144-142で2人がスピンクス、144-141で一人がホームズと2-1でスピンクス勝利と相成りました。会場にはブーイングも。

ややアップライト気味の構えからシャープな左ジャブを飛ばして試合を構築するホームズは基本に忠実なタイプとも言えますが、スピンクス弟はまさに変則。左足前(オーソドックスということね。)ながら上半身が何故か右前手(サウスポー)だったり、妙に前に上体がつんのめった体勢からパンチを飛ばすなどホームズにとっては噛み合わせが悪い相手だったかも知れません。
しかし、この時代を振り返ってみると強いけど、カリスマ性が無く不人気王者だったホームズを誰か止めてくれという空気が蔓延してたのも事実。
この年の暮れにバービックからWBC王座を奪取してタイソンの時代が始まるわけですが、一発目でこの試合の勝者と当てるのはリスクが高かったかも知れません。

ホームズが王者だった1戦目があった85年頃まではタイソンはまだキャリアを積み重ねてる「脅威の新人」に過ぎなかったし、ホリフィールドはクルーザー級だったし、タイソンが育ってくるまでのワン・ポイント・リリーフ的に誰かがホームズ王朝に終止符を打つ役割を担わなければならなかったわけですね。そう考えるとマイケル・スピンクスが果たした役割は次の時代への橋渡しであり、彼もタイソンに介錯されてしまったのも運命だったのかも。
そして同じ様にタイソンに介錯されたホームズがまた復活してくるのも読めなかったですねえ。

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