現代ボクシングを代表する世界的なアイコンといえばカネロ・アルバレスですが、私を含めてボクシングファンには結構なアンチ・カネロがいる様な気がします。理由としては
①際どい試合を贔屓判定してもらってる、いわゆるカネロ判定。
②ゴロフキン2を一度、ドーピング陽性で流してしまったダーティ・イメージ。
という点でしょうか。②に関してはデリケートな問題なので①について検証してみましょうか。今振り返ってみるとどういう印象になるのか。
今回はリアルタイム時に一番納得いかなかったララとの試合です。
2014年7月、場所はラスベガスMGM。ノンタイトルの12回戦でした。
この頃からカネロのセコンドにレイノソが・・・
試合は端的にいってララのアウトボクシングをカネロが追ってくという展開です。8年前だからララのフットワークも冴えること(笑)。
1Rからララは脚を使ってのアウトボクシング。リーチ差もあってカネロのパンチが届かない・・・と思われたが、すぐに距離を修正してボディへ攻撃を切り替えるカネロ。
2Rはカネロのボディが奏功してる様にも見えたが3Rは微妙かな。
4R当たりにはカネロ優勢の流れになってくる。
しかし5R、前半はララが右→左のサウスポーのワンツーがカネロの顔面を捕らえて優勢も後半はカネロがしつこいボディでペースを手繰り寄せて微妙。ここまでは自己採点は48-47で1差カネロ。
6Rがまた微妙。ララがサークリングしながらジャブ飛ばす、カネロは近づいてボディ狙うが、お互いに手数が少ない。ややカネロ優勢と見るが。
7R、カネロのアッパーでララが出血。8R、ララの右ジャブに合わせてカネロが利き手の右でカウンター狙うが浅い。ここは微妙だが、個人的にはララが獲った様に思う。ここまで77-75で2差カネロ。
あれ?思ったよりカネロ勝ってるじゃん。と思ってたのが束の間。
9R以降はララの攻勢が目立つ。
左ストレートがカネロにヒット。ボディはブロック、10Rにもカネロの右にララが左をカウンターで合わせ優勢を印象付ける。
ここまでで95-95。ポイント的にはララが追い付いた格好で後2R。
11R、カネロの手数が少ない。ララも決して多いとは言えないが有効打の数で優勢か。そして12Rは遮二無二カネロが前進してララが回りながらカウンターを軽く合わせて流す形で終了。
試合後の両手を上げて互いに勝利をアピールするが表情を見ると明暗くっきり。失意のカネロ、微笑するララ。
私的採点は115-113で2差ララ。微妙なラウンドでララに付けたのが3つあるのでそれを全部、カネロに付ければ116-112でカネロという理不尽判定まで持っていけるのだが・・・
公式採点は115-113でカネロとララが一人づつ分けて、残り一人が117-111で6差カネロ。理不尽にしてもこれは予想以上だったな。
ポイントに関しては様々な見方があるかもしれないが、この試合でカネロが劣勢と感じさせたのはやはり9R以降の試合の流れの不味さだろう。観客の中では後半有利だった方が試合の印象が強いわけで。
また、カネロの攻撃は8~9割がボディ・アタックでララの顔面をクリーンヒットさせる場面はほとんど無かった。対してララは軽いながらもカネロの顔面を何度か弾いてるのでジャブ重視の採点基準だったら明確に判定を物にしてるだろう。
相手がカネロで無ければなおの事ではあるが。
メイウェザーに敗れたあと、L字ガードを中心に独特のボディワークを駆使して防御技術も進化させたカネロだが、この頃にはまだその技術は反映されてない。
「マラソンをしてるんじゃない。」という試合後のインタビューは矢尾板とのノンタイトルで敗れたパスカル・ペレスへのオマージュではないかと思ったが、まぁそれは考え過ぎだろう。
カネロ判定があったかどうかは観客一人一人に委ねられてられてる。