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Channel: リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論
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贖罪

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尾川堅一がIBF世界スーパー・フェザー級王座を獲得しました。

敵地での戴冠ということを考えれば、偉業ではあるし、西岡、三浦、山中といった帝拳のワンパンチ・フィニッシャーの系譜を継ぐ王者として期待値は大きい。

 

 

しかし、割り切れないものも残る。

やはり4年前のデビン・ファーマー戦における薬物陽性反応が引っかかってくるものがある。勿論、あれから尾川はIBFからもJBCからもサスペンドを受け、ファンからの信頼も失った。一般的には償いは果たしたのだろう。

ボクシング・ファンは優しい人が多いから、過去にやらかしをしても試合が凄くて、面白ければ大体は許してくれる事が多い。その点で尾川のサスペンドが解けてからの試合内容や対戦相手の質等からはファーマー戦以前の反応に戻った様にも思える。自分もいつまでもこの件に関しては引きずるのは賢明ではないと思ってる。

ただ、以下の点で未だに疑問は残る。

 

①ドーピングでの違反薬物がサスペンド期間中に完全に身体から抜け出るのか。つまり、多少なりともドーピングの恩恵が身体の中に残ってしまうのであれば、そもそもサスペンドも意味を成さないのでは。

薬物が完全に体外に放出されたということが科学的に立証出来る様なアフター・ドーピングみたいな検査があればいいのですが。

 

②アトピー性皮膚炎の治療のために使用してる塗り薬の中に含まれてるテストステロンが理由とされてたが、実際に塗り薬の中にテストステロンは含まれてなかった。当然、どの様に接種したかが問題だが、ここから先はあまり語られてない様に思う。

本当の原因を公表して、以後、注意を喚起することまで行わないとこの話は終わらない。世界王座を敵地戴冠したことで有耶無耶にするのであれば、ちょっと応援出来ないな。

 

過去に認められてたサプリメントや薬が現在の基準で認められないこともあるし、表に出ないで処理されたケースもあるだろう。しかし、実態はわからないにしても、日本人の美徳として相手に違反されることはあっても、自分からすることは無かったはずだ。

体重超過もそうだが、どんなに減量がきつくても一度かわした約束(契約)は絶対に守るというのが日本人の美意識だったはず。

しかし、時代は昭和はとっくの昔に遠くへ過ぎ去り、今や平成を通り越して令和になってる。日本人のメンタルは不合理な精神論を捨てて、より合理的なものになってきており、結果もそれによって出てきてる。

ただ、ルールの隙間を突くことはあっても、ルールをこっそりと抜け駆けするのは違うだろう。マリーシアはあってもズルはしないのではなかったのか。

もっと素直に応援させてくださいよ。

 

 


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