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Channel: リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論
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オープン・スコアリング・システム10年目の功罪

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今年の11月でオープン・スコアリング・システムが導入されて10年になります。
確か、WBCの世界戦で06年11月のイーグル京和vsロレンソ・トレホが初めてこのシステムを導入した試合だったと記憶しています。最初は集計に手間取ったり、スコアが場内アナウンスのみで聞き取りづらかったりしましたが、運営側もかなり改善されてきたように思います。

このシステムを導入するキッカケになったのが、この年の8月に行われた亀1vsランダエタの1戦目の判定に関する疑義が大きくなってきたことだったのですが、後に試合前のリングの寸法チェックの面なども踏まえ、いままで曖昧にされてきた部分をキッチリしようという意識を高めてくれたのが、あの一家の唯一の存在価値ではありました。
さて、オープン・スコアリング・システムに関しては一般の方からはわかりやすいという声が上がる一方で、特にオールド・ファンからは否定的な意見がまだ多く出ています。曰く。

・8R終了時に試合の趨勢が見えてしまう。勝ってる方がポイント計算に確信を持って逃げ切り、負けてる方が場合によっては諦めるケースもある。

・見込み違いの採点が出た場合は負けてる選手(勝ってると思いこんでた選手)が戦略の変更を余儀なくされるケースがある。
※去年の細野vs下田やかっての細野vs榎などにそれを感じました。

・あるジャッジが他のジャッジの採点と乖離してることを途中で認識してしまうので帳尻合わせの採点をする可能性がある。

世界戦(東洋戦)はまだ12Rという長丁場なので4R時点での採点なら、後半に逆転の目もあるので試合の展開に影響を与えることは無いでしょうけど、10Rの日本タイトルマッチの折り返し点での公開に意味があるのかなとは、正直思います。
わからない部分を模索しながら、陣営が建てた戦略や作戦を遂行してポイントや展開の読み合いをするのもこの競技の肝になるだけに、それを明らかにすることで観戦者からも一つの見方(楽しみ方)を奪っているような・・・採点がオープンになることで観客が採点内容を監視しやすくなるという利点もあるだけにまだ個人的な好みを超える結論は出せないかも知れません。

※3ノックダウン制廃止ならスタンディング・ダウンを復活させるべきとも思います。ルール面は我々観客も積極的に論じるべきテーマでしょうね。


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