不作だった2016年に比べて、好試合が多かった2017年。
内山、三浦の両巨頭の引退やネリの薬物騒動に巻き込まれた山中の不運等もありましたが、村田の王座獲得と世間への認知度上昇、拳四朗や比嘉、木村などニューフェイスの世界王者の誕生もあり、国内もそれなりに盛り上がったのではないでしょうか。
1.年間最優秀選手:田口良一(ワタナベ)
※井岡以来となる複数団体の統一王者誕生。メリンドに前半ペースを握られかけたが、後半に盛り返して、終わってみれば中差判定勝ちで完勝。今年は2試合だけだが指名戦と統一戦なので非常に中身が濃い2試合だった。内山や河野の影に隠れてた頃は既に過ぎ去り、今や立派なジム頭。今年度は拳四朗との統一戦も期待。
2.年間最高試合:田中恒成vsアンヘル・アコスタ(5月21日)
※アコスタもプエルトリカン特有の高いボクシング・センスを持った強打者だっただけに戦前は田中がパワー以外、技術の面で圧倒されることもあるのではないかと思いましたが、常に先手を取って、試合のイニシアチブを渡さずに終わってみれば完勝。井上尚の影に隠れてしまってるが、田中のモンスターぶりもかなりの物だと思います。
この状態を維持しつつ田口戦が実現してたら、確かに凄い試合になっただろうな。タイミング合わず残念。
3.技能賞:岩佐亮佑(セレス)
※サウスポーに苦手意識があったとはいえ、小國を技巧で圧倒して世界王座を奪取した試合は見応えがありました。相手の射程距離を掻い潜る様にしてパンチを見切り、カウンターを叩きこむ試合スタイルはちょっとのタイミングで破綻してしまう刹那さを感じさせるものですが、それだけに磨き抜かれた技巧に裏打ちされてるのは当然として、プロとして見るものを魅了する。
グスマンみたいな強打者にもこの様なスタイルを貫けるか。
4.敢闘賞:京口紘人(ワタナベ)
※2017年は京口にとって飛躍の1年になった。
4試合を消化し、全勝(2KO)。しかも全てがタイトルマッチでした。
OPBF→世界と一気にステップアップ、アルグメドから王座を奪取した1戦はスタイルの噛み合わなさから多少の不安を感じさせもしたが、大晦日にブイトラゴをキッチリとKOしたV1戦で今後に期待を抱かせる。
WBO王者の山中竜也よりもスケール感の大きさを感じさせる。今後はタイの2王者との統一戦等も期待したい。
ミニマム級で昨今見られる、日本人同士の王座タライ回しに終止符を打って欲しいな。
殊勲賞:木村翔(青木)
※ある意味、一番ファンの疑念と戦ってたかも知れない。
日本王座に絡まないでキャリアを積んできてしまったのがその一因。WBOアジアを獲得した試合も後半はスタミナ難からグダグダになってしまい、それだけにゾウ・シミンから中国で世界を奪取したのには誰もが驚かされた。と同時にゾウは衰えも指摘されて久しかった時期だけに世界王者としての疑念はこの点でまだ払拭出来なかった。
それだけに大晦日に五十嵐をキッチリとTKOしたのは大きい。
懸念されたスタミナもしっかりと改善されており、荒々しいスタイルは逆に技巧的に綺麗にまとまった選手が多い中では返って新鮮だったりする。
※2018年には何を期待するか。国内では無駄な王座の削減と統一戦、好カードの実現が望まれる。
リナレスvsマイキーや井上vsアンカハスなどが流れてしまったのは残念だったが、今年はそれをも上回る相手とのヒリヒリする様なビッグマッチの実現を期待したい。