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Channel: リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論
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「もどかしさ」ゆえ。

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ボクシングは才能やセンス等、先天的なものが占める割合が大きいスポーツだと思います。一瞬の判断の差が勝敗を分ける残酷さ、その瞬間でしか表現しきれない儚さ、切なさが詰まってる競技です。

溢れんばかりの才能を如何なく発揮して昇りつめていく選手の試合は素晴らしい。

しかし、豊かな才能を生かしきれないでもがいてる選手もいる。こんなはずではなかったという思いが募りながらも、追い続けてしまう。そんなボクサーが忘れられず印象的だったりします。

キャリアも後半に差し掛かりながらも、もがき続ける男たち。

 

1.翁長吾央(大橋)

 

その才能は誰も認めてたのに、何故かベルトに縁が無い。

左右どちらでも決定力があり、防御感もよく、何よりもセンスがいい。

王座挑戦の機会は何度かあった。2010年の中広負傷に伴う日本Sフライ級の暫定王座決定戦ではようやくベルトを腰に巻くかと思われたが、佐藤洋太にTKO負け。

2011年の最強後楽園決勝で負傷引き分けになった帝里木下と翌年に空位の王座決定戦を行うも1-2ながら完敗。

そしてベテランと呼ばれて久しい年齢に差し掛かった頃に地元、沖縄で東洋王者のレネ・ダッゲルに挑むも0-3で完敗。

デビュー時は日本・東洋獲得は当たり前で世界へと謳っても誰も疑わないだけの試合を見せてきたのだが、この様な紆余曲折のキャリアを誰が想像しただろうか。

 

2.久高寛之(仲里)

 

マスクはいい、センスはある。試合もカウンター・パンチャーながら激闘も厭わないので面白い。しかし、タイで獲得したシルバー王座以外のベルトとは縁が無い。

日本王座に関しては2007年にヨシケンと暫定王座決定戦を行ってるものの、それ以降は挑戦の記載はない。しかし、強敵相手のマッチメイクが評価されてか国内外で4度の世界挑戦に恵まれてるのだから、そういう意味では不運とは言い切れないだろう。

しかし、相手の出方を見過ぎてしまうのか勝ちきれない部分がある。

粉川、村中、井上弟、マーク・ジョンヤップとの試合はいずれも激闘で面白いが全部、負けてる。何かが足りないのだろうが、それを見つけるために戦い続けてるのかもしれない。

 

3.木村隼人(ワタナベ)

 

海外デビューとアジア圏を席券した紆余曲折のキャリア。

強敵相手の強気なマッチメイクはその心意気こそ歓迎されたものの、攻撃に気がはやり過ぎるのか打たせる試合が多く、一時期はそのダメージの蓄積も心配された。

ハンド・スピードもあり、動きに切れもある。しかし、時には打ち急ぎ過ぎるのか、やや間合いが乱れて試合が汚くなる傾向がある。

ジム移籍後にA級トーナメントこそ制したものの、2015年4月の日本王者、石田への挑戦、2016年10月の中川健太との王座決定戦ではいずれも0-2、1-2であと一歩が勝ちきれない。

今年7月の東洋王者、レネ・ダッゲルへの挑戦も0-3敗退。

ワタナベジム移籍後はチャンスにも恵まれてるが、それをモノにするには何かが足りないのかもしれない。

 

※上記3名はセンスは一枚抜きんでてるし、キャリアも技術もあるのですが、今一つ突き抜けられない「もどかしさ」を感じる選手たちです。

このまま、才能を感じさせたまま終わってしまうのか、それとも・・・

 


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