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Channel: リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論
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サウスポー・キラー~柴田国明を振り返る~

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先日、岩佐に敗れて世界王座を陥落した小國に対して、サウスポーに対する対策が足りなかったのではないか?と指摘する声がSNS上で少なからず呟かれてます。

単純に位置取りの問題やセオリーと真逆に右に回って、相手の左を真正面からもらうポジションが多かったことなどを捉えてのものですが、このレベルになるとセオリー通りの展開を打ち破る「カウンター」としてのセオリーも確立してるだろうし、我々ファンが考え付くことは当然、見越したうえでの戦略だったのではないかと思います。

何といっても世界戦ですし。

内藤もポンサクレックとの3戦目では敢えてセオリーと逆の右回りで展開を作って王座奪取にこぎつけましたね。MXの中継の解説を務めてた上原氏が何故、逆に行くのかとコメントしてましたが、従来のセオリーの上を行く発想でないと超えられない壁もあると思います。

 

しかし、今回は小國がそのレベルでの戦いをしていくうえでの準備不足と言われればその通りの結果になってしまったのも事実。ならば世界レベルで観客にも届く左対策をした試合はあったのかというとありました。

柴田国明vsビセンテ・サルディバルです。

 

この試合の柴田はまさにサウスポー・キラーのお手本のごとき試合でした。しかも相手はサルディバルですからねえ。

特に10~12Rの攻撃は圧巻。出すパンチ、出すパンチがことごとくサルディバルの顔面を捉えて顔面崩壊→棄権に陣営を追い込みました。

よく言われることですが

①相手の前足の外側を取る位置取り

②左を打たずにダイレクトの右を多用

特にジャブでなく、身体の振りやステップなどでリズムを刻んだり、するあたりは90年代ならともかく、あまりこの時代では類を見ない。

例えばいきなり、右アッパーで切り込んだり、左フックのボディ→顔面のダブルなどは当時の国内ではあまり見られなかったのではないかと思います。

 

他にサウスポー・キラー全開の試合としてはvsベン・ビラフロア第1戦が思い浮かびますね。

 

後年、嶋田雄大が荒川仁人に挑んだ際にはその左殺しの技巧を見染められて特別コーチに専念したこともありました。

秋の夜長にこういう昔の試合を見直してみるのもいいものです。

サウスポーではないですが、vs西城正三、vsファイティング原田の2試合が実現してたらどうなってたのかを考えると、ますます夜も眠れません。


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