先日のRIZINでの朝倉未来vs牛久絢太郎戦での牛久の引き込みからの膠着、そして翌日のパンクラスでの中島太一vs田嶋涼のスタンドでの長いお見合い状態がMMAファン界隈で物議を醸してます。
相手の出方を伺い、警戒するのは格闘技であれば当然の事なのですが、木戸銭取って試合を見せて生業とする「プロ」の場合はそこを乗り越えて勝ちに行く姿勢、攻防を見せる事が求められます。一見、矛盾する様ですが、昔からプロ格闘技とはなんぞや?は一つのテーマになってますね。
ボクシングもそうです。テクニカルな間合いを取ってタイミングを計る技術戦よりも一般的には派手な打ち合いが好まれます。
しかし、マスな観客の求めるものばかりを追求してると判定勝ちした勝者よりも一本、KOで負けた敗者の方が評価されるという事態になり、そもそもそれは競技なのか?という疑問も湧きます。
そして現状、競技であるために強豪同士のカードが思った様な試合にならず、塩試合になってしまうこともまた仕方ないのではないかと思いますね。
1.粟生隆寛vs榎洋之
東京JCBホール(東京ドームシティホール)のコケラ落としとして行われたこの試合、前売りは即完売で当日券無し。会場の期待は溢れんばかりだったと記憶してる。日本と東洋の統一戦で勝った方が国内最強、世界挑戦へとの機運もあったのだが・・・
互いを警戒し過ぎたのか、何かが起きそうな雰囲気のまま、結局は何も起こらずに12Rを戦い抜いて引き分けに終わりました。
緊張感はあったものの、それが長丁場では持続せずに途中から雰囲気も弛緩してきたな。
2.ジョンリル・カシメロvsギジェルモ・リゴンドー
記憶に新しい塩試合。カシメロの野性がリゴンドーの鉄壁を打ち崩すかと期待されましたが、鬼ごっこに終始する展開に・・・
当時、WOWOW加入を検討してた知り合いにこのカードをおススメしてただけに立つ瀬が無かったですよ。
手数が多くないスタイルの場合はその展開にいかに緊張感を持たせるかだと思います。それは身体から醸し出す雰囲気であったり、過去の試合における鮮やかなワンパンでのKOや形成逆転に持って行った実績であったり・・・
競技者側の倫理が優先されるのが第一ですが、職業倫理では観客によって成り立ってる矛盾。つまらなければ観る人も少なくなり、それは自分の報酬に返ってくるわけで。
しかし、観客側の倫理を最優先するのも競技として違うわけで。
敗者が評価されるのは過去にその試合を振り返ってのノスタルジーに浸った場合であって、まず賞賛されるべきは勝者であるべき。
昔、ホールで今は無きリングサイド・クラブの常連の方が「何もしてなくても、なーんか、いい雰囲気だな!」と野次を飛ばして場内がドッと湧いたことがありましたが、要はそういう雰囲気を創れるのがプロではないかと思います。